むかしの運動部で水を飲むなと言われたわけ

社会・2021-08-04 18:52

暑いですね~、こういうときは熱中症に注意したいもの。
令和2年6月~9月の熱中症による救急搬送人員の累計は 64,869人であったそうな。発生場所で一番多いのが、意外なことに屋内が4割以上、次いで道路が2割弱、屋外は1割程度。

熱中症という言い方が広まったのは、90年代からでそれまでは、日の当たる場所で発症すると日射病。屋内などだと熱射病と言ってました。

たかが熱中症となめてはいけません。令和2年では長期入院する重症者が1,783 人、100人以上の方が死亡しています。

夏のスポーツとかで熱中症になる中高生や子どものニュースを聞いて「最近の若者や子どもは弱すぎる! 根性が足らん‼」と、お怒りの中高年もいるかもしれません。

しかし、我が国における熱中症の問題は、筋骨たくましく根性もあるであろう明治時代の兵隊と炭鉱夫によく起こることからはじまりました。

また明治大正昭和の小学生も、熱中症で倒れたことが新聞で記事に残っています。また昭和時代、運動中は水を飲むなと指導されていました。理由としては「お腹がタプタプになりバテやすくなる」「体が冷える」などが言われておりましたが、科学的根拠はありません。また、ひとつの理由として「根性をつけるため」というのもあったようです。

昭和の運動部では「熱中症で倒れる」=「根性がない」と言われていたのです。

また、戦後日本のスポーツは大日本帝国軍の伝統をそのまま受け継いでおり、「運動中に水を飲むな」という教えは、行軍中に兵隊が小川や水たまりの水を飲み、そのため下痢をする者がいたため、「行軍中は勝ってに水を飲んではいけない」という指示が、「運動中に水を飲むな」になったという説があります。

しかし運動中に水を飲むな論は、完全に否定されており、運動選手のみならずこまめに水分補給をすることが、熱中症予防になると言われています。少なくとも根性では熱中症予防はできません。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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