国葬・統一教会に対する若者と高齢者の賛否の差はどこから来たのか

社会・2022-08-29 18:45
国葬・統一教会に対する若者と高齢者の賛否の差はどこから来たのか
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安倍元首相が銃撃され、国葬が決定し、やがて政治家と統一教会の関係が日夜マスコミの話題にのぼっている。この二つの話題に対して、若者層と高齢層の賛否や反応が真逆になっているようだ。「FNN」が8月20・21日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1,178人からの回答によると

【安部元首相の国葬】
18歳~20代:賛成60.0% 反対31.4%
70歳以上:賛成28.4% 反対64.2%

【統一教会に関する(政府の)対応】
18歳~20代:評価する57.9% 評価しない31.5%
70歳以上:評価する25.1% 評価しない66.2%

と、両方ともおもしろいくらい真反対になっている。一体なぜだろう? まず安部元首相の国葬については、若者層ほど安部人気・自民党が高かったことが挙げられるのではないだろうか? 90年代初頭にバブルが崩壊し日本は経済成長をしなくなった。

その原因はその頃の政治家もビジネスマンも、高度成長期時代やジャパン・アズ・ナンバーワンといわれた当時の成功体験から脱却できず、日本式のスタイルを変えることができなかったからだ。

そのためいまの若者たちは子どもの頃から常に不景気であった。若者は好景気を知らず育ったと言っていい。しかし第二次安倍政権になると、民主党政権時代の2012年失業率4.3%から2019年は2.4%まで低くなった。

有効求人率は2012年の0.8倍から2019年には1.6倍になり、就職は2014年から売り手市場になった。いまの若者層にとって安部元首相は救いの神のように映ったかもしれない。

一方高齢層は、学生運動世代であり、反体制・反権力こそが青春の1ページであり、常に体制・権力の側であった自民党は打倒すべき相手であった。これらが若者の国葬賛成が多く、高齢者の国葬反対が多いということになっているのではないだろうか?

統一教会の対応はどうだろう? 高齢者は90年代に統一教会に入信していた有名人が合同結婚式に参加したり、霊感商法のひどさが連日報道され、統一教会のカルト性をよく知っており、またほぼ同じ時代に起こったオウム真理教事件など、カルトの恐ろしさを記憶しているので、現政権の統一教会の対応を甘く感じているのかもしれない。

一方、若者層は、統一教会の霊感商法やオウム事件をほとんど知らないのだ。

これらのことが、「国葬」と「統一教会に関する対応」に関する賛否が、若者層と高齢層の反応の違いになっているのではないだろうか?

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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