西洋覇権国と戦国武将⑤ 家康編
エンタメ・2021-01-26 21:02秀吉亡き後、日本の支配者は徳川家康となった。また西洋覇権国はスペインからオランダにとって代わろうとしている時代でもあった。
オランダという国は商人の国である。世界で初めて銀行を作り株式会社を作った国でもある。スペインやポルトガルと違い、領土的野心よりも儲けを求めた。キリスト教を広めようという野心もない。
さて家康である。秀吉の東アジア征服計画は継承せず、スペインやメキシコとの貿易を行うことを考えていた。
ただし、セットとしてついてくるキリスト教はお断りしたい。これは秀吉も一緒で商売はしたいが宗教はお断りとして、キリシタン禁教令を出していたのだ。家康もそこは継承したい。
1600年関ケ原の戦いのわずか6カ月前、大分の臼杵(うすき)にオランダ船のリーフデ号が漂着、乗組員であったイギリス人ウィリアム・アダムスと、オランダ人ヤン・ヨーステンと、家康は出会うことになる。
カトリックの宣教師たちは、プロテスタントであるオランダ人やイギリス人が、家康と会ったことにかなり焦ったらしい。リーフデ号の乗組員を殺すよう家康に進言したほどだ。
しかし家康はオランダを選び、関ケ原を制した家康は、その後、大阪夏の陣では武器をオランダから買い入れ、豊臣側には多くのキリシタン大名が付いた。当然、カトリックの宣教師を通してスペイン商人から武器を輸入した。
西洋でスペインとオランダが覇権を争い、カトリックとプロテスタントが宗教戦争を行っているとき、日本でもその代理戦争が行われていたのだ。
結果、西洋の覇権はオランダが握り、日本の覇権は徳川が勝ち取った。
その後、徳川幕府は、オランダ以外の西洋国に国を閉ざす。キリスト教は徹底的に弾圧した。これは西国のキリシタン大名が密貿易などをして反乱を起こさせないためと、銀の流出を防ぐだと思われる。
次に日本が西洋列強と相まみえるのは250年後の幕末期まで待たねばならない。
(西洋覇権国と戦国武将:完)
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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