北欧2国のNATO入り反対のトルコ その狙いは
社会・2022-05-21 18:30フィンランドと、スウェーデンの加入希望に反対をしているトルコだが、その狙いは何か?
両国が、トルコがテロ組織に指定する、クルド人組織を支援していることを理由にしているが、それは大して重大事ではないだろう。
また、トルコが2019年にシリア北部に侵攻した際、両国がトルコへの武器禁輸の発動に加わったことも理由にあげている。このとき米国とEU諸国は、トルコのエルドアン大統領の資産凍結などの制裁を行っている。
2020年には、NATOの加盟国でありながら、仮想敵国のロシアから最新鋭の対空防衛システムS400を購入。反対した米国との関係がさらに悪くなり、ステルス戦闘機F35Aの売却禁止という制裁を受けたままだ。
さらに同じNATO加盟国でありながら、キプロス島(キプロス共和国)をめぐって長い間ギリシャと争っている。トルコのエルドアン大統領は「NATOがギリシャを加盟させたのは間違いだ。同じ過ちを繰り返したくない」と述べたという。
キプロスはギリシャ系住民(キリスト教徒)と、トルコ系住民(イスラム教徒)の紛争が起こり1974年、ギリシャがキプロスに介入。反発したトルコ共和国が出兵し北キプロスを占領、83年に一方的に「北キプロス・トルコ共和国」独立を宣言し、キプロスは南北に分断した。
ただし、国連は北キプロス・トルコ共和国を認めず、EU加盟は南側のキプロス共和国のみとなった。
さらにキプロス島の周辺に油田が発見され、その権利をめぐって、周辺国の緊張が高まっている。
そんなときにトルコは、北欧2国というカードを手にしたわけだ。エルドアン大統領にとって、降ってわいたような絶好のチャンスであり、米国やNATO諸国からむしり取れるだけ取ってやろうと思っているに違いない。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
-
「おぐらが斬る!」犯罪が年々減少していたわけ 2023-09-23 10:48
-
「おぐらが斬る!」ジャニーズ事務所は今後どれくらい変わることができるのか? 2023-09-22 12:28
-
「おぐらが斬る!」中立国インドのロシア離れがはじまっている 2023-09-20 20:28
-
「おぐらが斬る!」新型コロナの3年間は、小中高校生をどう変えるのか? 2023-09-19 19:51
-
「おぐらが斬る!」コロナ第9波 インフルと同時流行 悠仁親王も感染 2023-09-15 22:34
-
「おぐらが斬る!」プーチンと金正恩4年半ぶりの首脳会談 一人笑うは金正恩だけか 2023-09-15 20:54
-
「おぐらが斬る!」世界から嫌われる中国 今度は紙の上の侵略か 2023-09-13 20:18
-
「おぐらが斬る!」ジャニーズは経営初心者の東山氏やお嬢様の居座り前社長で大丈夫か? 2023-09-11 20:39
-
「おぐらが斬る!」力を持ち過ぎた芸能事務所ジャニーズに支配されたマスコミ 2023-09-09 20:55
-
「おぐらが斬る!」ジャニーズ社名の変更なし 本当なら解散して被害者救済をするべきでは? 2023-09-08 20:11