朝鮮統一はあり得るか?

社会・2021-05-01 15:13
朝鮮統一はあり得るか?
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戦争の世紀と言われる20世紀、朝鮮半島は日本、清(中国)、ロシアに囲まれた土地であり、周辺国は地政学な意味でどうしても欲しい土地であった。

日清日露戦争は朝鮮半島を誰が制するかというために起こった戦争である。第二次世界大戦後は、朝鮮半島の覇権をめぐってアメリカとソ連が半島を舞台に朝鮮戦争が勃発。その結果、二つの国に分裂した。

朝鮮戦争はいまだ終戦にいたらず、現在は休戦中であるが、両国民の人々の願いは朝鮮統一であろう。

北朝鮮は1980年、当時の最高指導者金日成が『高麗民主連邦共和国』という案を出したことがある。これは一民族・一国家・二制度・二政府の下で連邦制による統一というものだが、在韓米軍撤退が条件であったため、韓国側が受け入れなかった。

朝鮮民族はずっと中華帝国に服属しつつ中華思想を学び、自らを小中華と名乗るほどであった。中華思想というのは、自分の文明以外は野蛮国と考える思想で、明が清(北方民族)に滅ぼされたとき、朝鮮の人々は「中華文明は滅んだので、中華思想の正当継承国は朝鮮のみとなった。つまり我々が中華であり、我々以外は野蛮国だ」と考えるまでになった。小中華思想によると、清は夷狄であり、日本は倭夷、西洋は洋夷となる。

地政学に詳しい作家の茂木誠氏によると、韓国の人にとって北朝鮮は米国にも中国にもロシアに屈しない立派な国に見え、現在の韓国より北朝鮮のほうが、より小中華を体現しているように感じるらしい。よってもし米軍が韓国から撤退した場合、北朝鮮に韓国が吸収されていく可能性が高いという。そして米韓関係はやや不安定だ。

つまり朝鮮統一はそう遠くない将来大いにありうる。それも北朝鮮が中心となってだ。

もしそうなったら一国二制度で統治しつつ、北朝鮮が韓国の富をむさぼることになるだろう。しかし経済的には支えきることはできまい。そして統一朝鮮になれば、人口8千万の大きく、そして貧しい隣国が誕生することになる。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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