台湾はいま世界が注目し世界を左右する国

社会・2022-12-14 18:11
台湾はいま世界が注目し世界を左右する国
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12月10~12日まで、自民党の萩生田光一政調会長が台湾を訪れた。
日本の与党幹部が訪台するのは、実に19年ぶりのことだ。
本来なら、9月に安倍元首相が訪台の予定であった。

台湾とは1972年、日中国交正常化以来、政治的には断交ということになっているが、近年いろいろな意味でとても重要な国になっている。

台湾には、米国も中国も日本もかなわない高度な「半導体」製造企業があるのだ。
企業名「TSMC」、世界の最先端半導体の9割をシェアし、時価総額55兆円。

この台湾の企業から半導体を使わないと、米国も中国も、家電やスマホ、最新軍事兵器も満足に動かせなくなってしまう。

そのためTSMCの創業者であるモリス・チャン氏はAPECに台湾代表として蔡英文総統の代理で出席したが、そのとき非公式で習近平がわざわざ会いに来るほどであった。

バイデン大統領は、アリゾナにできるTSMCの新工場に視察に出かけ、モリス・チャン氏に謝意を述べている。

半導体不足のいま、台湾の民間企業TSMCは、2大超大国の指導者を動かすほどの企業であり、世界を左右しかねないのだ。

自民党の萩生田政調会長も今回の訪台で、TSMCを訪問し、副会長や幹部らに日本との連携強化を訴え、熊本に新工場を建設中だ。もしかしたらもう一か所、日本に工場を誘致できるかもしれないという。

そんなTSMCがある台湾に、中国も武力侵攻はやりにくい。
最先端半導体工場は、米国や日本、ヨーロッパからの材料や化学品などの供給があるからこそ運営できるので、例え中国が武力で台湾にあるTSMC工場を奪取しても、工場を運営することはできない。
結局、困るのは武力で奪取した中国ということになる。
これを「シリコン(半導体)の盾」という。TSMCがあるから中国は台湾を攻められないという意味だ。

現在、日本と台湾は政府間の国交はないが、議員や政党での交流はあり、東日本大震災のときには、200億円もの義援金が台湾から送られてきた。
以来日本人の台湾への好感度は上がり、民間交流も盛んになった。

日本は72年に断交して以来、ずっと「日中友好」であったのが、習近平政権の独裁や他国への圧力を見て、近年「日台友好」へと変わっていった。

民間だけではない。中国の海洋進出という安全保障上の問題からも、台湾はなくてはならないパートナーなのだ。
外務省の「外交青書」では2012年までは台湾は「重要な地域」と記されていたのが、2013年には「重要なパートナー」と記述され、2020年には「極めて重要なパートナー」と変化してきている。

ところが、11月29日、立憲民主党の末松義規議員らが国会で岸田首相に
「台湾有事の際、台湾独立の動きは封じていかなければならない。台湾独立を支持しないとハッキリと仰って頂きたい」

この明らかに中国寄りの発言は台湾サイドを激怒させたというが、この議員たちは台湾の重要さをわかっているのだろうか?
もしかしたら世界の半導体シェア9割を中国のものにしたいのかもしれないが・・・

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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