日本を代表する料理の多くはB級料理が元?

エンタメ・2022-12-09 20:56
日本を代表する料理の多くはB級料理が元?
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『日本を代表する料理の多くはB級料理が元?』といと誤解されてしまうかもしれない。
もしあなたに外国のお友達がいて、日本にやってきて日本の美味しいものを食べたいと言ったとする。
あなたはどんなご馳走を提示するだろうか?

日本を代表する料理には、室町時代に武士の料理である「本膳料理」を簡略化した「会席(かいせき)料理」がある。

また禅宗の精進料理を茶道の千利休などが取り入れ、お茶を美味しく味わうため「懐石(かいせき)料理」が生まれた。

「懐石」と「会席」は発音が同じであるため「茶懐石」と言って区別することもある。
この会席料理、懐石料理が日本を代表する高級料理と言ってもいいだろう。

その他、外国人に人気の日本料理といえば「寿司」「天ぷら」「すき焼き」がある。
これはとてもユニークなことなのだ。
というのは、「寿司」も「天ぷら」も、支配者層から生まれたものではなく、庶民が生んだ料理なのだ。
「寿司」も「天ぷら」も庶民が食べる屋台料理であったからだ。

さらに「すき焼き」は明治の文明開化のときに生まれたものだが、当初けっして上品な食べ物ではなかった。
初期のころはゲテモノ扱いで、「牛の肉を喰った」と自慢するため来るようなガラの悪い客ばかりであったという。

外国人に人気といえば「焼肉」も挙げられる。
日本の焼肉は、元々在日韓国人が日本人向けに甘辛い醤油ダレを開発し、広めたものだ。

世界3大料理であるフランス料理・トルコ料理・中国料理は、すべて宮廷料理であり、皇帝や王様など支配者に提供するために発達してきたものだ。

しかし日本料理は天皇や将軍に提供するために発達してきたのではない。
武家発祥の「会席料理」も、茶道から生まれた「懐石料理」も、江戸時代に発達させたのは武士や朝廷ではなく庶民であった。

まして「寿司」「天ぷら」「すき焼き」は、あくまで庶民の食べ物であった。

初代の家康が質素を旨としていたため、将軍はもちろん、武士全体に質素倹約が美徳とされており、美食を追求する者は少なかった。
幕府に監視されている天皇など朝廷も、質素であったという。

いま、日本を代表する料理の中には、江戸時代の屋台料理など元々庶民のB級グルメが多くあるというのはなかなか面白い。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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