西洋覇権国と戦国武将③ 光秀編

エンタメ・2021-01-22 21:41
西洋覇権国と戦国武将③ 光秀編
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大河ドラマの主人公なるなど、明智光秀はずいぶんと見直されるようになってきた。そんな光秀だが、宣教師フロイトが書いた『日本史』には予想以上にひどく描かれている。

ざっくり紹介してみよう。
「城内において、彼はよそ者であり、すべての者から嫌われていた」
「彼は裏切りや密会を好み、刑を科するに残酷で、独裁的でもあった」
「戦争では謀略を得意とし、忍耐力に富み、計略と策謀の達人であった」
「彼は人を欺くために72の方法を深く体得し、かつ学習したと吹聴していた」
「あまり謀略には精通していない信長を完全にごまかし、惑わしてしまい、信長は彼を丹波、丹後二カ国の国主に取り立て、信長がすでに破壊した比叡山の延暦寺の全収入とともに彼に与えるに至った」
(引用:参照『回想の織田信長 フロイス「日本史」より』松田 毅一・川崎桃太 (翻訳) 急行新書より)※一部筆者が意訳した。

いやいや、明智光秀が悪役だった時代が長いとはいえ、日本の小説等では光秀が信長にいじめられての本能寺というのがほとんど。ここまで悪く描いたものはちょっと見たことがない。

本能寺の変での信長を倒した後は

「京の住人は明智が残忍なことを知っており、市街を略奪し、放火を命じるのではないかと考えていた。我々が教会で抱いていた憂慮もそれに劣らぬほど大きかった」

「明智は悪魔とその偶像の大いなる友であり、我らに対してはいたって冷淡であるばかりか、悪意をさえ抱いており、デウスのことについてなんの愛情も有していないことが判明していた」

信長も秀吉も、宣教師たちが日本を支配下に置こうとしているのは知っていた。当然、光秀も知っていたことだろう。そういうところから、光秀は宣教師に冷淡な態度をとっていたのかもしれない。
(つづく)

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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