西洋覇権国と戦国武将④ 秀吉編

エンタメ・2021-01-25 21:27
西洋覇権国と戦国武将④ 秀吉編
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信長が本能寺で斃れた後、天下を手にしたのは豊臣秀吉であった。秀吉は信長から継いだものはそれだけではなかった。それは『明(中国)・東南アジア征服計画』である。

信長は、この計画を本気で考えていたらしい。それを秀吉は継承しようとした。秀吉がまだ、東北の伊達や関東の北条、九州の島津などが秀吉に屈服していないうちに、すでに明国や東南アジアやインド征服を計画していた。

フィリピンをはじめとする東南アジアやインドを支配しているのは、当時の覇権国スペインである。当時のスペインは世界中に植民地を持ち「太陽が沈まない国」といわれた。これは自転する地球で太陽が当たっているどこかに必ずスペインの領土があるという意味である。

秀吉がフィリピンをはじめとする東南アジアを征服するということは、世界覇権国スペインと戦争をするということなのだ。秀吉が狙ったのはフィリピンの富をあったという。

これは以前よりよく言われてきた配下に分け与える領地がないから明国を征服するというものではない。それなら明国ではなく朝鮮を征服してからでいい。しかし秀吉は最初から朝鮮は通り道、明国、東南アジア、インド征服を狙っていた。そうなると、話は断然ダイナミックになってくる。

そして秀吉はフィリピン総督、インド副王に「予に服従せよ、さもなくば軍を派遣し征服するぞ」という手紙を送る。インド副王とはスペイン王に代わり植民地インドを統治するスペイン人である。

フィリピン総督は震え上がり、スペイン国王にメキシコから援軍をよこしてほしいと要請したほどである。

しかしそれは杞憂に終わった。朝鮮出兵はうまく行かず、秀吉の寿命が尽きたのだ。その5日前、スペイン国王フイリペ2世も急死。西洋の覇者と日本の覇者との激突はかろうじて避けられたのである。
(つづく)

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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