これでいいのか日本の教育 公的教育支出世界最低レベル

社会・2022-08-04 18:29
これでいいのか日本の教育 公的教育支出世界最低レベル
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驚くべきことに、日本という国は先進国の中でもっとも教育に無関心な国の一つであるらしい。『世界の中の日本を知る 世界ランキング』というサイトによると、経済協力開発機構(OECD)加盟国など世界29か国の教育機関への公的支出割合は日本26位。日本は最低レベルといっていい。

日本という国は口先では「教育は大切」とはいうものの、上記のごとく教育にお金を賭けたがらない。よく「日本の学生は勉強をしない」と言われるが当たり前だ。いまや学生の中には入学すると奨学金という借金がないと大学に通えず、学費と借金返済のためにアルバイトで勉強どころではない学生も少なくない。

いまや大学卒業の段階で、300~500万円の【奨学金という名の借金】がある人など当たり前なのだ。それを返し終えるのが平均で約15年。この借金を返済し終わる頃は30代半ばか後半になってしまう。

ちなみに国家がやる公教育の目的は、どこの国でも【富国強兵】である。そのためには国民個人が、豊かにならなければならない。教育機関に対する公的支出の割合が国際的に最下位レベルということは、日本国家は【富国】になることをあきらめたと言われても仕方がない。

日本人はあまり意識していないが、日本の大学進学率は国際的にみると決して高くない。国際統計データを取り扱うWebサイト「GLOBAL NOTE」が、「世界の大学進学率 国別ランキング・推移2020」によると、日本は49位だ。
ちなみに韓国7位、アメリカ16位、ロシア20位、モンゴル39位。

日本はお隣の韓国はもちろん、あの大草原のイメージで大学のイメージがあまりないモンゴルよりも大学進学率が低いのである。

もちろん、大学進学率を上げればそれでいいというものではない。小中高校の基本的学力の底上げの結果、大学の進学率が高くならねばならない。

しかし残念なことに、日本の公教育は授業内容がわからなくてもカリキュラムが進んでいく。結果、落ちこぼれる子どもが大量に生産され、その子どもが大人になっていく。

国家が行う教育というものは、2~3年で成果がでるものではない。政治家や文部官僚はそれこそ「国家百年の計」をもって取りかからねばならない大仕事であるはずだ。

理想としては、せめて国公立大学授業料の無償化はもちろん、ある一定以上の成績の学生や、経済的に問題のある学生に奨学金を【貸す】のではなく【給付】することだ。しかし現実には、国立大の学費がこの50年間で45倍、私立大は10倍も高くなっている。

現在、公教育の場である学校はブラック企業化しているのも、国が教育にお金を使いたがらないためだ。日本が【富国】になることをあきらめていないなら、子どもや若者への投資を惜しんではならない。公的教育費は長い目で見た国防費であり、国を育てる費用でもあるのだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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