日本の学校教育は同じ行動をする人間を作る場だ
社会・2022-05-31 10:13不登校が増えている。2020年度の不登校の小中学生は19万6127人であった。何らかの事情で学校へ行けない・行かない子どもが増え続けているようだ。1991年度に比べると3倍近く増えているのだ。
もともと、日本に近代学校が生まれた明治から昭和にかけて、学校に行かない・行けない子どもはいた。明治時代などでは、子どもを学校に行かせない親もたくさんいた。理由は、子どもは貴重な労働力であったからだ。そのため「子どもを取られた」親が、学校を焼き討ちする事件があったほどだ。
明治国家が子どもを公的に教育するための制度を作ったのは1872年(明治5)である。理由は日本を近代化し富国強兵化するためだ。優秀な兵隊を作るために教育の義務化は必要なことであった。
いまでも日本の学校教育は、先生が教室に入ってくると、みんなで「起立・礼・着席」と同一行動をさせる。体育の授業では「前へならえ」と整列させ、運動会では行進をする。
多くの中学校では決まった制服や髪型を強要し、少しでも守れないと生活指導の名の元で、説教され、ときに親が呼び出されたりする。
子どもの個性を尊重するといいながら、個性的な子どもは鋳型にはめられるか、そうでなければはじかれてしまう。
学校は子どもを教え学ばせるところのはずだが、落ちこぼれたり、授業についていけなくなっても、他の児童生徒の邪魔さえしなければ、叱られることは少ない。これらが小中高で12年間も続く。
さて、日本の学校教育とは何か? どうも知識の習得よりも、みんな同じ行動をする人間を作る場のようだ。当然、集団行動に馴染めない子どもは、一定数いるし、今の時代ならもっと増えてくるかも知れない。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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