サッカー部暴行 なぜ学校は生徒を護らない
社会・2022-05-08 18:26「学校は児童生徒を愛し育てるもの」というのは表向きのことで、過去の事例によると、ひとたびいじめや暴行事件などが起こると、学校は児童生徒を見捨てる。
いじめが発覚したとき、学校が一番先に守るのは担当の教師たちであり、次はいじめ加害者の方だ。いじめを受けたほうが「いじめ防止」の名目のために登校しないよう「指導」させられる場合も少なくない。
熊本県八代市の私立秀岳館高サッカー部のコーチによる部員への暴行事件もそうである。
秀岳館高サッカー部の暴力行為は、わかっているだけで38件。男性コーチ24件、別のコーチ1件、部員間13件。つまり暴力が日常化していたわけだ。
事件は4月20日、コーチが寮で部員を殴ったり、蹴ったりした動画がSNS上で拡散して発覚。県警は暴行容疑で男性コーチを書類送検した。
SNSでこのことが公けにならなければ、これら暴行事件は延々と続いたであろうと思われ、動画という証拠がなければ、コーチも罰せられることはなかったであろう。
その後、部員11人が頭を下げ、今回の暴行事件は自分たちが「コーチをバカにするような発言をしたのが原因」などと、悪いのは自分たちと謝罪する動画を部の公式ツイッターに投稿。
この動画も胡散臭いと噂になっていたが、何のことはない。サッカー部監督の指示で部員が撮らされていたということも発覚した。なんと監督は部員に「マスクを外すように、実名も出すように」という演出まで行っていたというから開いた口がふさがらない。
当初、監督は「投稿は部員の提案」、学校は「部員が自主的に投稿したと発表していたが、とんでもない大嘘であったわけだ。
他にも監督の「加害者は俺、お前らを訴えることもできる」と脅迫めいた音声も流出。
部活動は学校教育の一環である。しかし学校側はこの件に関して対応は極めて遅く、生徒を護ろうとしているとも思えない。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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