ロシアは勝ったとして弱体化を免れない
社会・2022-04-09 18:10いまロシアにとって最大の後ろ盾は中国であろう。軍事的にも経済的にも政治的にも、もっとも重要なパートナーとなってきた。ロシアは中国にとって欠かせない小麦や石油・天然ガスを輸出し、中国はその対価をロシアに支払う。ロシアにとって中国の貿易額は、今年1~2月だけを見ても、前年同時期と比べて38.5%も増えているのだ。そして共通の敵は欧米と日本。
ただ中国にとって、燃料以外ロシアは経済的に大した相手ではない。政治的には敵対していても、中国としては経済的にロシアより欧米日のほうが大切なお客様なのだ。
習近平はプーチンに親近感を持っているらしいが、それだけでロシアをバックアップするわけにはいかない。そのため中国はロシアに配慮しつつも、全面的に支援できないでいる。
中国が何より恐れているのは、ロシアを支援することで、ロシアと同じような経済制裁を受けることだ。経済制裁を受ければ、長年の夢である一帯一路構想、中国と欧州の巨大経済圏を作る計画が潰れてしまう可能性がある。
中国としては、一帯一路構想の中にモスクワもウクライナも入っているので、どちらにもいい顔をしたい。習近平は北京五輪のときにプーチンと会談をしているが、おそらくそのとき、今回のウクライナ侵攻の話は聞いていたはずだ。
ただ、そのときは習近平もプーチンも数日で片付くと思っていたに違いない。しかしそうはいかなかった。これは両人にとって大きな誤算であったことあろう。
また、結束力が弱まっていた西側諸国が予想以上に対ロシアで団結してしまった。これも誤算。
ただし、中国は静観するだけで、漁夫の利を得ることができる。ロシアが勝っても負けても、西側諸国に燃料資源以外では相手にされなくなり弱体化は免れない。そのため中国への依存度が高くなり属国化する可能性さえあるのだ。
習近平は「プーチン、おまえ何やってんねん」と呆れているに違いない。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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