誰のための緊急事態宣言延長?

社会・2021-03-04 18:31
誰のための緊急事態宣言延長?
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首都圏の緊急事態宣言が2週間延長されるという。菅首相は予定通り7日で解除するつもりであったらしい。それが3日のぶら下がり会見で突如「2週間程度の延長が必要ではないかと考えている。最終的には私自身が判断したい」と言い出した。その理由はなんなのか?

2週間延長するとすれば解除は3月21日である。理由の一つといては聖火リレーの出発が3月25日であるから、この日までには解除しなければという思惑もあろう。

「最終的に私自身が判断したい」というのは、自身のリーダーシップをアピールしたいからであろう。また近頃の菅首相は判断が遅いというイメージがある。特に1月の緊急事態宣言のときは、一都三県の知事からの要請に押し切られる形になっていた。そのため今回は首相の方から先手を打ったというのが一般的な見方だ。

しかし肝心の感染状況はというと、本来1月7日に緊急事態宣言を出したとき、東京都でいうと感染者数が1日500人の水準で解除の予定であったはずだ。もうそれはとっくにクリアしている。それでも再延長となると、そのままズルズルと延長を続けるつもりなのだろうか?

もし、3月21日になってもいまの状況と事態が変わらなければまた延長をするつもりなのだろうか?

延長したほうがいいのでは? という意見は小池知事や政府の分科会、マスコミも言っていたことだ。しかしもし2週間後、もし感染状況がいまと大差なければ、菅首相は政治責任を取らねばならないのだが、どう考えているのだろう?

また、すでに大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、福岡の6府県は解除されているのだが、その数値は首都圏と大差はないのだ。飲食店や緊急事態宣言で苦しい思いで我慢している人たちへの説明は、いまのところまだない。

この延長や緊急事態宣言が菅首相のイメージ作りや、オリンピックのためではたまったものではない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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