世の中食べてはいけないものだらけ? ~は食べるなは健康的?

社会・2022-11-24 18:21
世の中食べてはいけないものだらけ? ~は食べるなは健康的?
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書店に行くと健康法の本がゴマンとある。中には『~を食べてはいけない』と、脅すようなタイトルのものも多い。

『肉は食べるな』
『ご米を食べてはいけない』
『小麦は食べるな』
『野菜中心は危険です』
『オーガニック以外は食べるな』
『フルーツは食べすぎ注意』
『遺伝子組換食品は危険』

などなど、誰しもがこれに似たタイトルや主張を耳や目にしたことがあるのではないだろうか?

どうも、極端なものが多く、ただ読者の不安を煽っているだけで、科学的に見ても【?】なものがほとんどだ。
そして「ごはんは食べるな・小麦はダメ・肉は・野菜は・フルーツは」などと言っていると、何も食べることができなくなる。

中には「日本人の体に小麦や牛乳は合わない」などという人もいる。
まず人類は1万年前から麦や家畜を育ててきた。
日本でも小麦や大麦を育ててきた。うどんもそうめんも小麦であり、普段のご飯は「麦飯」であった。

「でも牛乳は飲まなかったよね。だから牛乳を飲んでお腹を壊す人が日本人に多い。日本人にとって牛乳は毒である証拠」
という人もいる。
実をいうと、世界人口の75%、つまりは白人以外のほとんどの人種は、牛乳を飲むとお腹を壊したり、ゴロゴロする「乳糖不耐症」なのだ。
モンゴルの遊牧民もアフリカの遊牧民もほとんどが、この乳糖不耐症だ。

ではなぜ彼らは牛や山羊を飼い続けてきたのか? 実はミルクを飲むのではなく、お腹を壊さないように加工して食べてきたのだ。

以外かもしれないが、乳糖不耐症ではない白人たちでさえ一部の人以外で牛乳を「飲む」ようになったのはせいぜいここ150年前くらいから。
それは冷蔵技術が生まれてからであり、さらに殺菌処理等の技術が出来てからなのだ。
理由はわかりますね。
そうです。腐りやすい牛乳は牧場の近くの人しか飲まなかったからです。

よって「牛乳はお腹を壊すから毒」というのは、生肉を食べた人が「肉はお腹を壊すから毒」というのに等しい。
牛乳は20世紀になってから飲めるようになった健康飲料なのだ。
それでもお腹を壊す人は、別に飲まなくてもいい。それだけのことだ。

そういえば「肉は身体に悪いから食うな」という人もいる。
しかし中にはヴィーガンのような完全菜食主義者が「肉を食べる人は間違っている」と、自分の正しさを押し付けてくるのはいかがなものだろう?

「昔の日本人は肉を食べなくても健康だったじゃないか」と主張する人もいる。
たんぱく質不足のため明治大正時代の平均寿命は40代。男性の平均身長は150センチ代だった。
短命で背も伸びなかった時代の人たちが、いまより健康的な食生活をしていたのだろうか?

どうも「~を食べてはいけない」などと不安を煽る健康法は、それだけで健康的ではない。
根拠も誇張されていたり、ニセ科学的なものがほとんどだ。
アレルギーでもない限り、バランスよく何でも食べるようにしたほうがいいのではないだろう

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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