北京五輪寸前のロックダウンであらわになった人権問題

社会・2022-01-15 18:23
北京五輪寸前のロックダウンであらわになった人権問題
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北京五輪まで3週間となったいま、中国で新型コロナの感染拡大が止まらない。なんといってもこれまで「ゼロコロナ政策」がほぼ成功していて、いざ五輪という直前での感染拡大である。それもオミクロン株だけではなく、デルタ株も同時に感染が広がっているという。

河南省安陽市、陝西省西安市はロックダウン。北京市のすぐ近くにある天津市も一部でロックダウン。しかし他の都市でも感染が確認されており、感染拡大を止めることはできそうにない。

ちなみに西安市は人口1300万人と東京並みの大都会だが、12月9~23日の間、わずかに234人の感染者が出てロックダウンである。

天津市では1月8日に2人のオミクロン株を確認。すると1400万人の全市民に2日間でPCR検査をすると発表、さすがにそれはできず流通はとまり感染は広がっている。

中国共産党政府が求めているのは、あくまで「ゼロコロナ」である。そのためかなり強硬な手段をとっており、極端に言えば「人民の命よりゼロコロナ」という勢いだ。元々、新疆ウイグル地区の人権問題があった中国だが、五輪のためなら人民の犠牲も問わない勢いだ。

習近平国家主席は「コロナ対策は五輪最大の試練。最大の努力を」と厳命。ロックダウン中の西安市からは食糧が消えた。

西安市在住の女性記者江雪氏は、SNSで「勝利のために代償を惜しまないと政府はいうが、庶民が代償なのか」「コロナウイルスはまだ西安市民の命を奪っていないが、他の何かが市民の命を奪っているかもしれない」と、批判したが、いまは閲覧できなくなっている。

つくづくこの国には人権はないと思うばかり。人民に多大な犠牲のもと、五輪が終われば「大成功」と、胸を張るのであろうが、「さすが中国だ」と、ほめる人や国は少ないであろう。

このことは世界に発信されているわけで、あきれている国も多いのではないだろうか?

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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