ソ連崩壊から30年 社会主義国とはなんだったのか?

社会・2021-12-26 18:09
ソ連崩壊から30年 社会主義国とはなんだったのか?
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30年前の12月25日、これまで世界を二分していた巨大な帝国が消えた。ソビエト連邦である。ソ連はその後ロシア連邦と名を変え、社会主義国から資本主義国へと変貌した。

ロシア革命を経て、世界で最初の社会主義国となったソ連は、1991年、約70年続いた歴史の幕を閉じた。社会主義を標榜したこの国は、富を国家が分配するという理想とはほど遠く、「世界一優雅な生活をしている」とさえ言われた一部の特権階級と、その他貧しい労働者階級という格差を生み、数千万人もの人々に粛清という大虐殺を行った国家であった。

この粛清は、社会主義国の特徴のようなもので、ソ連だけでなく中国や北朝鮮、東欧、カンボジア、ラテン・アメリカ、アフリカなど、世界中の社会主義国で約1億人が殺された。

滋賀大学の筒井正夫教授の論文によると、国家社会主義ドイツ労働党(ナチス)も、「社会主義を掲げ、自由主義を封殺する全体主義国家として、そのイデオロギーは同根」とあるという。

社会主義は、富を国家が共有・管理し、分配することによって平等な社会を実現しようとする思想であったはずだか、独裁と大きな格差、大量の餓死者、粛清などは起こったものの、国家としての社会主義は成功しなかった。

20世紀になり、世界中を津波のごとく覆いかぶさっていった社会主義だが、現在社会主義を標榜している国は、中国、ベトナム、ラオス、キューバ、北朝鮮と、わずかに5か国しかない。ことごとく失敗に終わったのだ。中国は資本主義経済を取り入れ、北朝鮮は崩壊寸前。キューバはいまだに60年代の車が走っている。

一方、北欧のように、革命に寄らないで、社会主義を取り入れて成功している国もある。日本もかつて「もっとも成功している社会主義国」と言われたことがある。ソ連型の国家社会主義は失敗だったが、北欧などの社会民主主義からは取り入れるべきところがありそうだ。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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