大量殺人を生む孤立と孤独と絶望

社会・2021-12-20 18:51

近年、放火を伴う凶悪犯罪が増えた。小田急線での無差別刺傷事件で、容疑者は可燃性が低いサラダ油だったから火はつかなかったが、放火を試みている。京王線刺傷のジョーカー男は、ライターオイルで電車内を放火。これらは、2年前の京都アニメ放火事件にヒントを得て、一人でも多くを道連れにしようとしてやったのであろう。

今回大阪で起こったクリニック放火事件は、大量の人を巻き込んで自殺を図ったものである。なぜこういう事件が後を絶たないのか?

秋葉原殺傷事件、付属池田小事件、京都アニメ放火事件、小田急無差別刺傷事件、京王線刺傷事件のジョーカー男らに共通するのは、孤立と孤独、そこからくる絶望だ。

2013年に法務省が発表した「無差別殺傷事件犯に関する研究」によると、無差別殺傷事件犯の共通点として、誰からも相手にされない、必要とされないという孤立感・疎外感がある。大阪のクリニックに放火した容疑者も、離婚して一人暮らしをするようになってから、生活が乱れだしたという。

この孤独というのは大きな問題で、英国では2018年に「孤独担当大臣」というポストが設置された。我が国でも2021年に「孤独・孤立対策担当大臣」が誕生した。日本の場合、コロナ禍における孤独や孤立の問題を取り組むために作られたものだが、もし効果的な政策を作るなら、自殺はもちろん、大量殺人の防止にも役立つはずだ。

銃や爆弾が用意に手に入らない我が国では、これまで大量殺人は刃物が多かったが、京アニ放火事件によりガソリン等を使った放火が、より多くの人を巻き込むことができると、知れ渡ってしまった。恐ろしいことだが、これからも似たような犯罪が起こる可能性は大だ。

それを少しでも予防するには、孤立や孤独に苦しむ人を減らす必要があるだろう。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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