人口の14% 境界知能の生きづらさ

社会・2021-12-22 18:38
人口の14% 境界知能の生きづらさ
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IQ85~115の人の割合、人口の約68%。これが平均的な知能指数だとされている。
IQ 84~70の人の割合、約14%。「境界知能」と言われ、知的障碍者枠ではないため、支援が受けにくい。ちなみに69以下の知的障碍者は2%だ。

わが国には「境界知能」の人は、人口にして1700万人、7人一人の割合だ。この人たちは、一見すると普通の人と変わらないため、いろいろな生きづらさと直面することになる。

子どもの頃から学校の勉強についていけずバカにされる。大人になってからは上手く仕事ができず、職を転々とせざるを得ないなどだが、中には不良生徒に万引きの手伝いをさせられ、要領が悪く捕まってしまったり、女性の場合、性的に利用されてしまうということもある。また、家庭内でも、虐待を受けてしまう場合も少なくない。相手の言うことがよく理解できないため、不当な扱いを受けることもある。

そのためか少年院や刑務所には、知的障害者や境界知能の人がたくさんいるという。ちなみに刑務所の中での学歴は、中卒が約40%、高校中退約25%、高卒約25%、大卒約5%と、圧倒的に中卒が多いのが現実だ。現在の高校進学率が98%であることを考えると、深刻な問題といえるだろう。

もちろん境界知能の人や、中卒の人を犯罪予備軍などと誤解しないように。むしろ、要領よく生きるのが苦手な境界知能の人は、だまされたりして被害者になることが多い。

昔のように人口のほとんどが、農業や小商いをして生計を立てていた時代と違い、大量の情報と高度な技術や高度なコミュニケーション能力を必要とされる現代社会に、ついていけない人を、大量に生み出している時代ともいえる。境界知能ではなくても、そう感じている人は多いはずだ。

境界知能の人たちは、社会の網の目からこぼれやすい人たちだ。そういった人たちにも目を向けることが、本当の意味での豊かさなのではないだろうか?

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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