なんでもハラスメントってちょっとおかしいんじゃない???

エンタメ・2022-10-31 19:47
なんでもハラスメントってちょっとおかしいんじゃない???
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最近、世の中に「ハラスメント」なるものが実に増えてきたように思う。ちょっと調べてみると「株式会社エージェント」がハラスメントを独自調査したものがあり、47種類ものハラスメントが発表されていた。そもそもハラスメントというのは「嫌がらせ」や「いじめ」、広くは「人権侵害」を意味し、相手に不快感や相手の尊厳を傷つけることを言う。

当たり前のことだが、「嫌がらせ」や「いじめ」、「人権侵害」などはやってはいけない。しかしこうもハラスメントの種類が多く、あまりに気を使っていると、人間関係そのものがやりづらくなるのではないだろうか?

例えば「コクハラ」というものがあるそうだ。意味は『告白ハラスメント』の略称で、脈のない状態で異性に告白することだそうな。勇気を出して告白したら、フラれたあげく「あなたそれコクハラですよ」なんて言われたら二重に傷ついてしまう。

「ゼクハラ」というのもあり『ゼクシャルハラスメント』の略で交際相手に結婚を迫ることだそうな。

最近の若い人は電話が苦手な人が多いという。しかしそれでは仕事にならないので、新入社員などに電話の使い方、受け答えを教えてやってもらおうとすると「先輩、それTELハラですよ」と返される。TELハラとは「TELハラスメント」のことで、電話が苦手な社員に電話番などを押し付けることだ。しかしそれでは仕事にならない。

ちなみに「それハラスメントですよ」と返す場合も「ハラスメント・ハラスメント」という、ハラスメントをハラスメントで返す「ハラハラ」というハラスメントであるらしい(ああややこしい(笑))

「新型パワハラ」というものもあり、「残業してもやり切ります!」「日付が変わるまでにやっちゃいます!」「頑張ります!」と言う部下や後輩に対して、「無理しなくていい」「残業はしなくていい」など、社員のやる気を削ぐようなこともハラスメントになるらしい。

「エンハラ」というのもあって、『エンジョイハラスメント』の略。意味は本人の意思を無視して、仕事などを楽しむよう強要すること。もはや「仕事を楽しもう」も「人生は楽しいぞ」も「結婚はいいぞ」も「恋はいいものだよ」も「スポーツは楽しいよ」もすべて相手が不快感をもった場合、ハラスメントになるかもしれないのだ。

繰り返しになるが、「嫌がらせ」や「いじめ」「人権侵害」といったハラスメントは、決してやってはいけない。しかし相手が不快感に思うこと全部がハラスメントになるとしたら、それはもう普通に話しかけることさえ躊躇してしまうようになるのではないだろうか?

人間社会というものはお互いに迷惑をかけ合い、ある程度までなら許し合っていくものなのだ。このままだと冗談も言えなくなってしまいそうだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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