終戦直後の左翼はGHQが育てた

社会・2020-12-03 12:26
終戦直後の左翼はGHQが育てた
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太平洋戦争が終わり、敗戦国日本はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に支配されることなる。

日本に乗り込んできたGHQの目標は大きく分けて2つあった。日本の軍隊を解体し、二度と戦争をできなくなる国にすること。すなわち非軍事化。もう一つは民主化である。

日本を民主化するためには、日本人の思想を改造する必要があるとして、現人神であった天皇に人間宣言させ国家神道を禁止し、マスコミや教育を統制したのはご存じの通り。

マッカーサーは、民主化のために労働組合運動が必要と考え、共産党はじめ左翼勢力の組合活動を容認した。いな、むしろ奨励した。すると労働組合は全国に爆発的といっていいほど生まれた。現在公開されている機密文書の中にもGHQが共産党と絵を組んだことが記されている。

マッカーサー自身、共産主義に反対であったが、それよりまず日本人の天皇崇拝や軍国主義思想を破壊することが急務と考えたのだ。

そのせいか共産党や社会党は大人気で、1947年(昭和22)第23回総選挙では連立内閣とはいえ社会党の片山哲が総理大臣となっている。1949年(昭和24)の衆院選では日本共産党も4議席から35議席へと躍進した。

この頃になると、共産党と労働組合幹部は、公然と「吉田茂内閣の打倒し人民(共産主義)政府を樹立しなければならい」と叫ぶようにまでなっていた。

マッカーサーもまさか日本の労働組合が、保守政権を倒して共産主義国を作ろうとするとは当初思っても見なかったことだろう。

このように終戦直後の左翼勢力はGHQが育てたようなものだが、その左翼勢力を弱体化させるために、今度はCIAが資金援助を行い自由民主党が誕生する。歴史とはどんな権力者でも思ったようには進まないらしい。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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