ミャンマー国軍、国民虐殺のなぜ
社会・2021-03-31 11:09ミャンマー国軍の暴走が止まらない、ついに自国民を空爆するまでになってしまった。なぜミャンマー国軍は自国民を虐殺するのか?
世界中から非難されているミャンマー国軍だが、ミャンマー(ビルマ)の近代史というのは、とても複雑なのだ。ミャンマー国軍が自国民を空爆したと書いたが、空爆されたのは少数民族の武闘派組織であった。ミャンマーは、6割がビルマ族で、他にも多くの少数民族がいる。
ミャンマーで差別されているロヒンギャも、少数民族の一つで、9割が仏教徒であるミャンマーにおいて少数派のイスラム教徒である。ロヒンギャは民族的にも宗教的にも、差別、虐殺されてきた民族だ。
ミャンマーという国は、19世紀に英国に侵略され、そのときインド人や中国人を移民させ、インド人が金融、中国人が商売、山岳少数民族が軍や警察を担って抵抗した。多数派のビルマ族は農奴と最下層になった。このときの恨みが後々の、民族差別につながっていく。
結局、ミャンマーは英国、後に日本の植民地にされてしまうが、日本が太平洋戦争敗戦後に独立。しかし少数民族との対立や、中国共産党の介入などで、争いが絶えなかった。
やがて軍部がミャンマーを支配するが、そこにやってきたのが民主化の風潮。アウンサンスーチー氏は軟禁され、中国では天安門事件が起こり、ソ連は崩壊した。
今回の軍部のクーデターは、アウンサンスーチー氏が進めようとする民主化への反発だと考えられているが、それだけではない。まずミャンマー国軍は、長く続く少数民族や共産主義者の反乱を警戒し、国民を信用していない。
ミャンマー国軍にとって、国民は潜在的な敵なのだ。しかし国軍にも家族や友人がいる。いま国軍上層部が恐れているのは、軍部が割れることだという。
いまのミャンマーは人類が犯してきた過ちを、また繰り返しているように思える。一日も早く、平和的にこの騒動が収まることを祈るばかりだ。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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