所有しない時代がやってきた

社会・2021-03-20 23:27

東日本大震災から10年たった。そしていまから30年以内に、70~80%の南海トラフ地震と首都直下型地震がくると言われている。それも後、10~20年後に起こる確率が高いという。

場所でいうと、首都圏から九州の東側までがマグネチュード7~9の巨大地震に襲われるというのだ。

首都直下型地震も南海トラフも、大津波がともなう地震と考えられている。特に南海トラフ地震は、東日本大震災の薬7倍の死者32万人超、そのうち約7割が津波による死亡だという。あの惨劇が、日本の各地で起こるのだ。

我々は東日本大震災で、多くの家や車が流されていくのを見た。流されなくても、もう住めなくなった家やマンションも、とても多かったのではないだろうか?

一昔前まで「家を建てるのは人生最大の夢」と言われていた時代があった。実際いまも20年、30年のローンで家やマンションを買ったという人も多いことだろう。もちろんそれは悪いことではない。しかし今から30年以内に70~80%の割合で、つまりほとんど確実に巨大地震が起こるとしたら……

首都圏や南海トラフの被害地域以外であったとしても、地震大国日本ではどこでも、巨大地震に襲われるかわからない。地震で家が流されてもローンは残る。そう考え自宅購入ではなく賃貸を選ぶ人が増えてきたらしい。

車もそうで、郊外に住んでいてどうしても必要とか、仕事で必要とか趣味でという人以外、マイカーを購入する人が減っているという。考えてみれば、車を買ってもほとんどの時間を駐車場に置いているだけ、駐車場のお金に車のローン、ガス代、整備費などを支払い続け、おまけに事故のリスクもある。それなら、車を購入するより必要なときだけ、レンタルかタクシーでいい。

物の所有を減らそうという、所有物を捨てる断捨離ブームもある。所有が必ずしも、富の象徴であった時代が終わりつつあるのかもしれない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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