IOCが中国製ワクチンを受け入れた裏側

社会・2021-03-17 18:31
IOCが中国製ワクチンを受け入れた裏側
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3月11日、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長が、中国から提供の申し出があった中国製の新型コロナワクチンを購入し、参加選手などに提供することを表明した。

丸川五輪相は「事前にうかがっておらず……」と困惑気味に答えていたが、これは開催国である日本を無視して、このことが決定されたことをあらわしている。

IOCとしては、五輪組織委の森会長辞任問題とか、リーダシップに欠ける菅首相などを見て、日本をいま一つ信用できなくなっているようだ。「菅さん、本気で五輪をやる気あるの?」ということだ。

日本は、本来ならば五輪開催の7月までに新型コロナワクチンを国民の7割に接種し、集団免疫をつけたいところだったが、現実ではワクチン争奪戦で後手に回り、さらに接種も遅れていて、とても7月までに間に合わない。それならこちら(IOC)が勝手にやるというわけだ。

IOCが中国のワクチンを受け入れたのには、ワールドワイドオリンピックパートナー(最上級の五輪スポンサー企業)の中国企業は、いまのところアリババ1社のみだが、将来は必ず最重要なパートナーになると考えており、営利企業となっているIOCとしては将来の最大手スポンサーとは、いまから仲良くしていたい。

さらに、中国がIOCに申し出たのは東京五輪だけでなく、来年2月に行われる北京冬季五輪も含めてのこと。

欧米の主要国が、ウィグル等人権問題で北京五輪のボイコットが取りざたされる中、何としても東京・北京五輪をやりたいIOCと、ワクチン外交で次の覇権国を狙う中国との利害が一致したということでもある。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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