ドーピングでの金メダルに意義はあるのか
スポーツ・2022-02-18 11:16フィギュアスケート女子で北京五輪出場しているカミラ・ワリエワ選手のドーピングが問題になっている。
五輪のドーピング検査は60年代にはじまるが、同時にドーピングをする側と検査する側のイタチごっこがずっと続いている。70~90年代のソ連や東独におけるドーピングは『お家芸』とさえ言われ、陸上の投擲競技では当時の記録が、いまだに破られていないものがあるほどだ。
東側だけではない。1988年ソウル五輪に出場したベン・ジョンソン(カナダ)は、カール・ルイス(アメリカ)を破ったがドーピングの陽性反応が出たことで、世界記録と金メダルを剥奪された。
このときベン・ジョンソンは「私は長年にわたり薬剤を常用していたが、検出された薬は使っていない」と、ある意味、ドーピングの常用を認めている。一方、ベン・ジョンソンと競って金メダルを獲得したカール・ルイスも、ソウル五輪米国代表選考会で3種類の薬物検査で陽性と判定されていることを、米五輪委員会の医師が03年に告発している。
しかしなぜかカール・ルイスは、出場を認められ金メダルを獲得した。ちなみに今回のワリエワ選手から検出されたのも3種類の薬剤であった。
やはりソウル五輪で女子100m・200mでフロレンス・ジョイナーが出した記録は、34年たったいまでも破られていない。彼女は38歳の若さで急死するが、原因はドーピングの後遺症だったのではないかという疑惑がある。
このように冷戦時代、それぞれの国や選手がなんとか検査の目をすり抜け、選手の健康被害を承知でドーピングを行ってきた。ロシアは国家ぐるみでドーピングを隠蔽してきたため五輪参加が禁止されている。
それなのにまた・・・ はたしてドーピングというルール違反をしてまで獲得したメダルに価値はあるのだろうか? 我々はいま五輪というものをもう一度考え直さないといけないのかもしれない。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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