空手とテコンドーの関係がおもしろい

スポーツ・2021-07-09 10:26
空手とテコンドーの関係がおもしろい
閉じる

東京五輪では、日本の国技である空手が念願の採用となった。オリンピックの正式種目としては、類似した競技である韓国のテコンドーがあり、空手は今回のみ採用とのことだ。

先ほど「日本の国技である空手」と書いたが、戦前と戦後しばらくの間、空手は「国技」としての扱いは受けていなかった。拳で人を打ち足蹴にする空手は、柔道や合気道といった武道と比べて、乱暴で下のものというイメージであった。

それに空手はもともと唐手と書いた。「唐」は中国、「手」は武術を表す言葉だが、これは「中国の拳法」という意味であり、日本人にとっては純粋な日本武術とは思えなかったようだ。

また空手は沖縄発祥の武道であり、琉球王国の武術であった。戦前、沖縄出身者には差別があり、日本に併合された朝鮮人と同じく2等国民の扱いであった。
よって、沖縄の武道も2等の扱いであった。

そんなことがあったからか、朝鮮から来た若者で空手を学ぶ者が多く、その人たちが朝鮮併合後、もしくは戦中戦後に韓国で空手を普及しだす。

特に韓国陸軍のエリートであった崔泓熙(チェ・ホンヒ)将軍は軍隊で空手を教えていたが、李承晩大統領の前で演武をしたとき、大の反日主義者であった大統領から「この武道を全軍に普及するように」と言われる。
崔氏はいまさらこれが日本の空手ということはできず跆拳道(テコンドー)と名付け、脱空手を図り、足技が発達していく。
ちなみに北朝鮮のテコンドーは、1980年代になってから北米から伝わっている。

60~70年代、欧米において空手とテコンドーの区別はあまりなく、テコンドーはコリアンカラテとも呼ばれており、いまでも空手道場でありながら、技術はテコンドーに近いというところも多いようだ。

テコンドーは創設期から韓国の「国技」として作られたが、日本の空手が国内で「国技」と認知されるようになったのは、昭和の終わりから平成にかけてと言っていいだろう。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

関連記事
関連タグ
スポーツ新着記事