日本の柔道選手は海外に比べ死亡事故者が多いという問題

社会・2021-07-29 10:19
日本の柔道選手は海外に比べ死亡事故者が多いという問題
閉じる

メダルラッシュの五輪柔道を観ていて、前とずいぶんルールが変わったなと思っている。柔道はよくルールが変わる競技で、延長戦(ゴールデンスコア方式)の導入や、これまでの「有効」を廃止し従来の「有効」でも「技あり」になったり、かつて抑え込み30秒で「一本」、25秒で「技あり」であったのが、20秒で「一本」、10秒で「技あり」となるなど、オールド・ファンは混乱することしばしである。

ともあれ、日本柔道がメダルラッシュなのはうれしいが、日本の柔道界というのは、ずいぶんと以前よりある【問題】が指摘されていた。

日本柔道界は、海外の柔道界と比べて異様に死亡事故者が多いのだ。

例えば日本とフランスの2004年~2017年の柔道死亡事故数を比べると、日本23人、フランス0人である。

ちなみにフランスは柔道王国と言われ、柔道連盟登録者56万607人、日本は15万8963人(共に2016年の登録者)と、圧倒的にフランスの柔道人口が多い。

しかしフランスでの柔道死亡事故者0人、日本は23人。

かつて「フランスの死亡事故者数がゼロなのはゆるい練習をしているから」などという愚か者がいたが、フランスは1964年の第一回東京五輪からの金メダル獲得数は、日本に次いで2番目だから弱いはずがない。
と、いう以前に、死亡事故者なんてものはゼロが当たり前で、人がたくさん亡くなるような練習をしているのが、そもそも大間違いだ。

死亡事故者は、ことに中学1年生、高校1年生が多いということもわかっている。これは受け身や体がろくにできていない初心者が、無茶な練習や試合をやらされているということだ。つまり明らかに指導者、指導方法に問題があるのだ。

柔道のルールが変わってきたように、指導者、指導方法も変わらないと、日本柔道は世界の柔道から取り残されることになるのではないだろうか?

それにはまず死亡事故や重大事故のゼロを目指してほしい。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

関連記事
関連タグ
社会新着記事