この世は弱肉強食ではなく適者生存。強いだけでは生き残れない
社会・2022-06-19 18:20「この世はしょせん弱肉強食」と、思っている人が多い。でもこれは間違い。自然界も、人間界も、弱肉強食ではなく適者生存というのが正しい。
これは資本主義社会でも同じことなのだ。バブル景気の時代日本企業は『世界時価総額ランキングTOP50社』のうち、1~5位を日本企業が占め、50社のうち32社が日本企業であった。しかし平成31年のランキングでは、43位にトヨタがいるだけになっている。
これは強者であった日本企業が時代についていけなくなり、つまり「適者生存」できなかったことが、原因の一つだ。
バブル時代の日本企業はライオンであり、トラでありゴリラであった。しかしバブル崩壊後の90年代2000年代の世界は急速に変化していった。まさに「おごれる平家久しからず、諸行無常の響きあり」である。
自然界のライオンもトラもゴリラも、肉体的には最強のたぐいであろうが、いまや絶滅寸前、かつて地上を支配した巨大恐竜は、絶滅し死に絶えた。
企業や国を生物の種に例えると、数百年続く企業があり、長い歴史を誇る国がある一方、数年で潰れる企業、数十年で無くなる国もめずらしくない。なんでも日本企業の平均寿命は23年程度であるらしい。
先日、印刷業界最大手の取締役の人と食事をする機会があったのだが、出版不況の中、印刷業務はほとんどなくなり、他のテクノロジー部門に進出しているという。
大手企業とはいえ、変化する社会に適応できなければ潰れざるを得ない。1935年(昭和10)に設立した協栄生命は2000年に4兆5千億円の負債を抱えて倒産した。60年代に「レナウン娘」や「イエイエ」のCMソングで一世を風靡し、90年代にはアパレルメーカーとして世界一の売り上げをほこったレナウンも、2020年に倒産した。
これまで「適者生存」を企業に例えてきたが、これは個人でも同じであろう。若い頃はイケイケだったのに、老いてくると時代についていけなくなり老害化する人がいる。
自然界においての「適者生存」は、ライオンやトラのような動物園のスターばかりではなく、名もなき無数の種がひしめいており、生き残りを賭けて進化と絶滅を繰り返している。この地球では年間、4万種もの種が絶滅しているそうだ。
ある生物学者によると「生物は進化か絶滅かの二つに一つ。絶滅したくなければ進化するしかない」と述べた。我々は、時代に合わせて進化し続けるしか生き残る方法はないようだ。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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