オカルトを信じる人の裏には理由(わけ)がある

社会・2022-06-08 18:33
オカルトを信じる人の裏には理由(わけ)がある
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オカルトやスピリチュアルを信じる人の背後に【何か】があるようだ。その一つは、ズルをしたいという心理だ。

例えば「夢がかなうブレスレット」でモテモテとか、大嫌いな相手を「呪いの藁人形」で殺す。肉体を鍛えずに超能力で相手を倒す。テレパシーで人の心を読み、透視能力でカンニング。テレポーテーション(瞬間移動)で世界旅行。予知能力や占いで未来を知る。

つまりは努力せず・自分は傷つかず願いをかなえるという思いだ。言ってみれば、受験勉強をしないで東京大学に合格したい。厳しい野球の練習をせず、魔球を使って甲子園で優勝したいという思いに似ている。

なかにはこれらスピリチュアル能力を身に着けるために滝行や断食を行う人もいるが、これも同じ。受験勉強せずに滝行や断食修行で東大合格を目指すのと同じだ。

オカルト史的には、70年代からはじまったオカルトブームは、超能力が身に付くと称していたオウム真理教のテロなどで、テレビではオカルト番組がタブー視されるようになる。

その代りに出てきたのが、スピリチュアル・カウンセラーなど『スピリチュアル系』の人たちだ。

もちろん、オカルトやスピリチュアル系・占いなどが悪いなどと言う気はない。占ってもらうことで、ちょっとした心の支えになることもあるし、悩みを吐き出すこともできる。

また心理学者のスーザン・A・クランシーによると『宇宙人による誘拐』には、両親の離婚や、虐待、いじめなどと関係があるらしい。傷ついた体験を、事実ではない記憶を作ることで癒そうとする心理作用だ。ちなみに臨死体験のある人の中にも、虐待経験がある人が多いそうだ。

他にも心霊体験の多くは、幻覚・幻聴などをともなう統合失調症などの病気で説明できる。オカルトのテーマは呪い・祟り・恨み・人類滅亡・陰謀論などなど、ネガティブなものが多いが、精神的な病気の症状も「監視されている」とか「悪口が聞こえる」などネガティブなものが多い。

そういった人たちにとって、オカルトやスピリチュアル的な体験を許容してくれるので、救いになっているのかも知れない。統合失調症は100人に1人がかかるポピュラーな病気である。

虐待やいじめ、厳しい現実からの逃避先としてのオカルトやスピリチュアルというものも、実際にはあると思う。

陰謀論は、疫病を「どこかの巨大組織が儲けるために起こしたもの」、大地震を「誰かが起こした人工地震」など、よくわからない不幸を誰かのせいにすることで納得できる。

すべてのオカルトには“理由(わけ)”があるのだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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