オカルトを信じたい人たちと被害者意識
エンタメ・2023-02-23 18:12実はワタクシ、オカルト業界にかなり近いところにいたことがある。例えば、10年くらい前だが、毎年年末にビートたけしさんが司会をするオカルト番組に肯定派として出たことがあるくらいだ。
よってかなりの数のオカルト信者に会ったり、あるいは取材をしたことがある。
ここでひとつ。「オカルト好き」と「オカルト信者」の違いを述べておこう。
「オカルト好き」は、オカルトを娯楽として楽しんでいる人たち。
一方、「オカルト信者」は、オカルト現象全般を本気で信じている人たちのことだ。
あ、ちなみにぼくはオカルト好きである。
数多くのオカルト信者と会っていて気が付いたのは、政治的にはネット右翼(中にはネット左翼)といった極端な思想の人が多いということ。
矛盾した都市伝説を同時に信じる人が多いということ。(例:「人類は月に行っていない」と「人類は月で異星人と接触した」などを同時に信じる)
他にも政治的に極端な思想の持主と、都市伝説を信じる人たちの共通したものとして「被害者意識」がある。
ネット右翼は「在日外国人が日本を支配している。我々純正日本人は被害者だ」と主張し、オカルト信者は「ディープステート(闇の政府)」が世界を支配している」と、主張する。
またオカルト信者は、世の中に起こる様々な悪いことを「陰謀」として解釈する。
東日本大震災のときは「これは人工地震だ」であり
新型コロナは「人口削減計画だ」となり
ロシアのウクライナ侵攻は「アメリカ(もしくはディープステート)が、ウクライナに生物化学兵器工場を作っており、ロシアはそれを阻止しようとしている」となるのだ。
天皇や英国王室、バイデンやプーチンは、レプティリアン(爬虫類型宇宙人)で、地球を支配していると信じている人もいる。ただし前述したように矛盾した言説も信じる。
ワクチン、食品添加物、農薬、電磁波、遺伝子組換え食品や作物などに過剰な拒否反応を示す人も多い。
思えばオカルトという世界には「怨み」「祟り」「呪い」といった被害者の復讐というのも入っている。被害者意識のある人にはオカルトは居心地がいい世界なのだ。
オカルト信者には子どもの頃にいじめられていたという人や親から虐待を受けていたという人も多く、オカルトを信じることによって心の安定をはかっているのかもしれない。
またオカルト信者は一定数いるので、仲間や友だちを作りやすいという点もある。ただ行き過ぎた人はそこでもやはり嫌われてしまうようだ。
人は何を信じても構わないと思う。
ただ一つ気を付けてほしいのは、オカルトの周辺にはカルト宗教のようなものもあるのだ。
オウム真理教の信者の多くは、超能力を身につけるために入信していた。
1997年、UFOを信仰するヘヴンズゲートという宗教団体は、UFOに魂を乗せるために38人が集団自殺した
やはりオカルトは楽しむ程度でいいのではないだろうか。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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