73年から世紀末まで続いたオカルトブームとは何だったのか?
社会・2020-12-04 12:35それは1973年に始まった。まるで爆発するようなブームだった。時代背景としては、オイルショックの後であり、公害問題が深刻化し、東西冷戦の真っ最中で戦争が起これば核兵器は人類滅亡すると誰もが考えていた時代に、五島勉の『ノストラダムスの大予言』という本が大ヒットしたのだ
『ノストラダムスの大予言』はご存じの通り「1999の年7の月 空から恐怖の大王が降ってくる」という詩を人類滅亡すると解釈したもの。同じ73年には小松左京の『日本沈没』が大ヒットし、日本中の人が芥川龍之介ではないが、ぼんやりとした不安や恐怖を感じていた時代であった。
1974年にはスプーン曲げで有名なユリ・ゲラーが初来日、日本中に衝撃を与え、たくさんの「超能力少年」が現れ、テレビスターになった。(後にトリックがバラされるのだが)
74年の映画興行収入では、洋画1位が『エクソシスト』、邦画1位が『日本沈没』、2位が『ノストラダムスの大予言』である。
これらオカルトブームは、80年代から90年代へと続くが、実社会にも大きな影響を与えている。その代表がオウム真理教による一連の事件だ。教祖の麻原彰晃こと松本智津夫は、80年代のオカルト雑誌が「空中浮遊ができる超能力者」として取り上げ有名になる。
(空中浮遊はもちろんトリック)
子どもの頃からオカルトや超能力に憧れていた若者たちがこぞって入信し、89年から95年まで、殺人やテロ行為など数多くの被害者を出し、1999年7月、ノストラダムスの大予言は外れ、オカルトブームは去っていく。
長い間オカルト業界をけん引してきた『月刊ムー』の主要読者は40代から60代。子どもの頃にオカルトブームを体験した直撃世代だという。
それにしても73年にはじまったあのブームは何だったのだろうか?
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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