自称超能力者・霊能力者の残念な歴史
エンタメ・2022-12-21 18:45「ハンドパワー」で有名になったMr.マリックはその技をマジックだと言えず、世間から大バッシングを受けた。
メンタリズムのメンタリストDaiGoは、かつてテレビで人の心を読めるがごとくの演出で、一世を風靡した。
もちろんこの人たちは「超能力者」ではない。そう名乗ってもいない。
Mr.マリックは「超能力」とは言わず「超魔術」といい、メンタリストDaiGoは「メンタリズム」と言った。どちらも超能力風の手品である。
しかし中には「超能力」や「霊能力」を自称し、やがてそのイカサマが暴かれてしまうなんて人もいた。
最近はあまり見なくなったが、日本ではタレント超能力者や霊能力が人気だった時代もある。
ちょっと振り返ってみよう。
1973年、ユリ・ゲラーという自称超能力者が登場する。
ユリ・ゲラーは元々、ナイトクラブなどで「超能力マジック」を披露するマジシャンだったが、へたくそであったらしくナイトクラブから訴えられたりしている。
しかし中にはユリ・ゲラーの「スプーン曲げ」を本物の超能力を信じる人たちもいて、人気者になっていく。
すると、多くの手品師がゲラーの「超能力」の種明かしをするようになる。それに怒ったのかユリ・ゲラーは超能力や霊能力を批判する団体「サイコップ」に訴訟を起こすが、逆に和解金12万ドルを「サイコップ」に支払っているのだ。
さて、ユリ・ゲラーが日本のマスコミに登場すると、そのマネをする「超能力少年」があらわれ大人気となった。
しかしマスコミというのは持ち上げた後に落とすもの。
「超能力少年」たちは、マスコミからそのトリックが暴かれ、マスコミから去っていった。
少年たちの中にはその後、詐欺や大麻事件を起こす者たちもいた。
それでも超能力や霊能力といったオカルトブームは、オウム真理教がテロ事件を起こす90年代半ばまで続く。
オウム真理教に入信した若者の多くが、超能力を身に付けたくて入信したという。この時代の新宗教には超能力や霊能力をウリにしたものが多かった。
オウム真理教教組、麻原彰晃は教祖になる以前、漢方薬局経営をしていた時代に保険料の不正請求をして返還を求められたり、ニセ薬を販売して逮捕されるような詐欺師的人格の持ち主であった。
オウム事件以降、テレビなどではオカルト番組が少なくなる。
それに代わって出て来たのがスピリチュアル番組だ。
そういった番組もヤラセや嘘が多かったが、同時に番組のマネをして、スピリチュアル・カウンセラーを名乗る人物が「幸せになる」とか「カルマを解消する」などといい、高額な治療費や商品を購入させるスピリチュアル詐欺が出て来た。
人は神秘的なものに惹かれる。
しかし神秘的なものにはウソや詐欺といったたくさんあるので、じゅうぶん注意してほしい。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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