この世界は少しずつ良くなっている
エンタメ・2022-12-12 18:58「世界はどんどん悪くなっている」
「最近、凶悪犯罪が増えている」
などとよく聞く。本当だろうか?
いまウクライナで戦争が行われている。
今年の夏、白昼公衆の面前で元首相が射殺された。
新型コロナウィルスの流行。
世界的な食糧不足。
インフレ・・・
世界は急速に悪くなっているように思えるが、実は長いスパンで見てみると、世界は少しずつ良くなっているのだ。
いま日本人の年齢でもっとも多いのが50歳前後だというから、その人たちが生まれた50年前と比べてみよう。
50年前、1972年(昭和47)前後の日本や世界はどうだっただろう?
米国はベトナム戦争中であり、イスラエルのテルアビブ空港で日本赤軍が乱射、26人死亡、73人負傷という事件があった。
あさま山荘事件もこの年だ。
翌年の1973年(昭和48年)には、中東の産油国が原油価格を70%引き上げたことを受け、のちに「狂乱物価」といわれるようなインフレが発生した。第一次オイルショックである。
オイルショック前4.9%だった消費者物価指数は、1973年に11.7%、74年にはなんと23.2%まで急伸している。
いまの日本ではほとんど起こっていないが、この時代は爆破事件が毎年起こっている。70年7件、72年13件、74年は45件である。この時代は過激派と言われるテロリストがたくさんいた時代なのだ。
1972年の殺人認知件数は2060件。
2017年に日本で発生した殺人事件は307件だ。
ちなみに、凶悪犯罪が一番多かったのは、62年前、1960年(昭和35)である。
70年代は60年代に比べると【まだマシ】だったのだ。
交通事故死亡者数は、1972年だと1万5918人。
2021年は2636人だ。
世界における1日2ドル以下で暮らす人は、1966年は50%であったのに、2017年では9%に減った。
いまロシアが核の脅しをかけているが、1986年には世界で7万発以上だったのがいまは1万3000発である。まあこれでも世界を破滅させるには十分な数だが、今後も減り続けることを期待したい。
50年前に比べて女性や子どもの権利もずいぶんと守られるようになった。
女性や子どもが夫や父親から、暴力を受けても「法は家庭に入らず」の原則で、警察も守ってくれなかったのだ。
世界は戦争や紛争、暴力、犯罪から脱してはいないが、多くの人の自覚と努力で少しずつ良くなっている。
50年前「犯罪都市」と言われたニューヨークも、犯罪が激減し「アメリカでもっとも安全な都市」とさえ呼ばれるようになった。
これも自覚と努力だろう。
しかし平和と言うものは、努力を怠ると、一瞬で消えてなくなる。
世界が破滅に向かうか、さらに良くなるかは、我々ひとり一人次第だ。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。
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