我々は本当に貧しくなっているのか?

エンタメ・2022-12-06 13:29
我々は本当に貧しくなっているのか?
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「日本はもはや先進国ではない」
「日本は貧しくなった」
と、近年よく聞くようになった。本当だろうか?

日本の平均年収はここ20年ほど横ばい状態。他の先進国は右肩上がり。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、2020年の国別ランキングでは、アメリカが世界で一番平均年収が高く、2位アイスランド、3位スイスとヨーロッパ諸国が続き、日本は22位。

いやちょっとまって、2000年、いまから20年以上前は世界17位。どうやら日本は元々年収がそれほど高くない国であったらしい。

しかし日本はアメリカ、中国に続き世界3位の経済大国。

日本が海外に持つ資産額から負債額を差し引いた「対外純資産」は、400兆円を超え、31年連続の世界一。

2022年1月に内閣府が発表した「国民資産」1京1829兆円と、過去最高。

2022年9月1日に財務省が公表した「法人企業統計調査」の結果によると、2021年度の日本企業の内部留保の額が516兆4,750億円と過去最高。

う~ん・・・、なんだかよくわからなくなってきた。

大きな話はやめて、昔の時代と比べてみよう。

30年前、バブル景気のころ、我々はスマートフォンもなく、パソコンもほとんど普及していなかった。
スマホやパソコンがないということは、情報を得るには新聞やテレビ、ラジオ、雑誌に頼らざるを得なかった。

それがいまや1998年には1割程度だったインターネット普及率はいまや9割。
情報もゲームも無料で楽しめるようになった。

バブル時代は、テレビは一家に一台。カメラもレコーダーも、電卓も別々に所有しなければならなかった。
家庭用ビデオカメラは1台20万円くらいした。それを観るビデオデッキもやはり15~20万円くらいした。
しかしそれらはスマホ1台で済んでしまう。

過労死と言う言葉が一般化したのは1988年からだ。この時代、日本全体がブラック企業と化していたのかもしれない。当時流行ったコピーは「24時間戦えますか」である。

こうなると、やはりバブル時代から比べて、豊かになったのか貧しくなったのかはわからない。ブラック企業で働くことを豊かとは言わないだろう。

1990年の平均年収は425万円、2020年は433万円。

ただしバブル期と現代を比べてみると、世帯1人当たりの支出額は、だいぶ増えているようだ。
これはおそらく、1人1台は所有するスマートフォンなどが影響しているらしい。90年は3%だった消費税は10%になっちゃったし。

これらのことを考えると日本が貧しくなったというより、先進国と比べて日本だけ成長していないということであろう。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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