「ラーメン」という不思議な食べ物

エンタメ・2022-11-29 10:40
「ラーメン」という不思議な食べ物
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明治時代になり、世界の食べ物が入ってきた。
その中の一つに「ラーメン」がある。日本の国民食と言われるほど愛されているラーメンだが、ちょっと不思議な外来の食べ物なのだ。

同じく国民食と言われ日本人に愛されている「カレーライス」と比べて欲しい。
カレーライスも明治時代に入ってきて、ラーメンと双璧となるほどの人気料理だ。
しかしその姿は終戦後から、あまり変わっていない。

しかしラーメンはどうか?

いまや町おこしのためか、各都道府県に「ご当地ラーメン」があるという。
それらの中には、他の都道府県にまで進出しているものや、全国区になったものもある。味も様々だ。
同じ外来の国民食である、カレーライスやハンバーグには、これほどの変化はない。
はるか昔から日本にある在来麺であるうどんやそばにもないだろう。

太平洋戦争が終わったころ、元々日本に移住していた中華系の人や、中国大陸から引き揚げて来た人が、中華料理店や屋台でラーメンを出した。
当時のラーメン鉢の中には、雷紋(らいもん)という中国をイメージする模様が描かれ、ラーメン店のイメージカラーは赤であり、店員は白いコックスーツを着ていた。

しかしいまや町の中華料理屋ならまだしも、「ラーメン専門店」ではそのような店は少数派になりつつあるのではないだろうか?
いまどきの「ラーメン専門店」では、器は黒、店員は黒の作務衣か黒いTシャツ、髪の毛は坊主頭にタオルを巻き、若い店員はやたらと気合が入っている。
そんなイメージになってきた。

即席めんといわゆる店で食べるラーメンの関係も面白い。
「ラーメン」という呼びかたが全国に定着したのは、1958年(昭和33)に世界初の即席めんである「チキンラーメン」(日清食品)のヒットからだ。それまでは「支那そば」や「中華そば」という言い方が主流だった。
味噌ラーメンを全国区にしたのは「サッポロ一番みそラーメン」(サンヨー食品)のヒットからである。

そして何年かに一度、新しいラーメンがブームになるのだ。

70年代には「味噌ラーメン」のチェーン店が全国展開した。
80年代末から90年代にかけて「九州ラーメン」ブームが起こり、いまは「豚骨しょうゆ」や「つけ麺」が流行りだ。

いまや高級感のある女性一人で入れるような店はもちろん、ミュシュランガイドに載るような店も出てきた。

どうやらラーメンという食べ物は、急速に変化するらしい。10年後、20年後、我々が想像もしていないラーメンがブームになっているのかもしれない。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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