ペットの殺処分数、犬と猫どちらが多い? それは猫のなぜ?

社会・2022-12-02 18:17
ペットの殺処分数、犬と猫どちらが多い? それは猫のなぜ?
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昭和の時代、日本人の多くはペットをひどい飼い方をしていた。獣医師の須田沖夫氏のデータによると、昭和55年(1980)の犬や猫の平均寿命はわずかに2~3年であったという。
現在は犬14.65歳、猫15.66歳と驚くほど伸びた。

犬は犬小屋で鎖につながれて飼われており、猫は放し飼い。
餌は飼い主の残飯に味噌汁をぶっかけ、カツオ節をまぶしていたものをあげていた。
塩分が高く先祖が肉食であった犬や猫の健康にいいとは思えない。

飼っているペットに子どもができると、段ボール箱に入れて川に流したりする飼い主も、少なくなかった。

殺処分は昭和時代では犬や猫を合わせて年間約100万匹もあった。
それが令和2年(2020)では、過去最少の2万3000匹となった。
そのうち犬が約4000匹、猫は1万9000匹となっている。

殺処分過去最少はいいとして、なぜか猫が犬よりも5倍近くも多いのだろう?

まず犬は狂犬病予防のため、野良犬は捕獲されるので、どんどん数を減らしおり、いまではほとんど見なくなったくらいだ。
しかし猫は違う。猫は放し飼いか、野良猫の区別が難しい。
猫は生後6か月くらいで、子猫を生むことができる。
メス猫は年2~4回発情し、一度に5~6匹の子猫を生む。
野良猫が子猫を生むと、捕獲されやすくなる。

その結果、悲しいことだが、殺処分された猫のうち子猫が6割以上になるというのだ。

また、無責任は猫好きの人が、猫に餌を与えているのも問題だ。先ほど述べたように野良猫の繁殖力は強い。
自分の庭や家の近くで、野良猫に餌を上げ続けていると、そこが野良猫のたまり場になってしまって、子猫がどんどん増えてしまう。
その猫好きの人は、子猫や親猫の殺処分に手を貸しているようなものなのだ。

では保健所などに持ち込まれる猫は、どういう背景があるのだろう?

多頭飼い約35%
経済的理由約35%
飼い主の病気や入院、高齢施設入所などが約20%。
引っ越し約5%
飼い主の死亡約5%

つまりほとんどが、飼い主の無責任さが殺処分の背景にある。

コロナ禍でペットを飼う人が増えているという。
コロナ禍はやがて終わる。

犬や猫は14~15年生きるのだ。
生き物だから病気にもなる。人間と違って健康保険がないペットは、全額負担だ。

いまペットを飼っている人、これから飼おうと思っている人は、よく考え責任をもって飼育してほしいと思うばかりです。

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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