失敗だらけだった真珠湾攻撃
社会・2021-12-08 18:15真珠湾攻撃から80年が経った。「トラ・トラ・トラ(われ奇襲に成功せり)」というセリフがあまりに有名であるせいか、多くの日本人はかのパールハーバー奇襲攻撃が大成功だと思っている人が多い。だが、実は真珠湾攻撃は失敗の連続で、結果的にうまくいっただけの作戦だったのだ。
山本五十六連合艦隊司令長官が、宣戦布告が真珠湾攻撃前に届くかを、何度も確認していた。にも関わらず、ワシントンの駐米大使館のミスで、米国政府に「開戦通告」が渡ったのは攻撃の約1時間後であり、米国に「日本が騙し討ちをした」という汚名を着せられ、厭戦気分だった米国民を奮い立たせることになってしまった。
また、敵に察知されていない奇襲攻撃は、飛行総隊長・淵田美津雄中佐の指揮官機からの信号弾1発が合図のはずだった。信号弾2発なら、奇襲を見破られ敵が待ち構えている強襲攻撃となる。
淵田美津雄中佐は敵に察知されていないと見て、「奇襲」の信号弾1発を撃つ。しかし戦闘機隊が動かない。それで信号弾の見落としかともう1発信号弾を撃つ。計2発になってしまい、「強襲」と勘違い。「奇襲」は雷撃隊が突っ込み、「強襲」だと、急降下爆撃隊が突っ込む作戦だった。
つまり、いきなり作戦ミスが起こっていたのである。さらに真珠湾攻撃の第一目的は、米海軍の空母を叩くことであったが、肝心の空母は真珠湾に一隻もいなかった。
それでも結果的には成功と言っていい戦果を出したが、最大の失敗は日本海軍が真珠湾から学ばなかったことだ。
真珠湾攻撃は航空機を使って圧勝した。しかし海軍は従来の大艦巨砲主義から抜け出すことができなかった。一方、真珠湾で大敗した米海軍は、空母が温存されたこともあり、すぐに航空機中心の作戦に切りかえている。そして太平洋戦争で日本が惨敗してしまうのだ。
真珠湾攻撃から80年、我々は、何を学ぶべきなのだろうか?
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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