一流スポーツ選手もなるうつ病のおそろしさ

社会・2021-06-09 18:42
一流スポーツ選手もなるうつ病のおそろしさ
閉じる

テニスの大坂なおみ選手がうつ病を公表した。失踪し行方不明になった元中日ドラゴンズの門倉健さんが発見され、医師にうつ病と診断された。

精神科の病気に理解がない人は、安易に「うつ病は甘え」などという。しかしうつ病はそんな病気ではない。世界トップのしかも現役の大坂なおみ選手ですらこの病に苦しんでいるのだ。

他にも「武器よさらば」「老人と海」などを書いたヘミングウェイは、アウトドア好きで男らしいイメージの人だったが、飛行機事故の後重症を負い、心を病んで自殺した。うつ病や精神科の病気は「甘え」や「怠け」ではなく、どんな人でもかかる可能性がある病気なのだ。

ちなみにうつ病は生涯で15人に1人がかかり、過去12カ月では約50人に1人がかかる病気で、決してめずらしいものではない。

うつ病でおそろしいのが自殺である。WHOによると、自殺で亡くなった人のうち精神障害のある人は90%であり、自殺関連行動と最も関連のある精神障害はうつ病とアルコール使用障害とされている。

うつ病とお酒は相性が悪く、お酒はうつ病治療にとって大切な睡眠の質を下げ、病状を悪化させる。特にうつ病のつらさから逃れるための大量飲酒は避けたほうがいい。

また、よく「死ぬ死ぬと言う人が死んだためしがない」などと言う人がいるが、それはまったくのウソである。
自殺で亡くなってしまった人のほとんどが、誰かに死にたい気持ちを打ち上げている。

一流のスポーツマンでも、どんな人でもうつ病はかかるときはかかってしまう病気。決して甘えや怠けではないのである。

大坂選手や門倉健さんはもちろんうつ病になった人は、ゆっくりと休養して治療してほしいと思う。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

関連記事
関連タグ
社会新着記事