日本人とおコメのはなし

エンタメ・2022-01-29 10:49
日本人とおコメのはなし
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米どころ新潟県が立ち上げた『遅刻するおむすび少女プロジェクト』の動画が話題になっている。このプロジェクトは、おコメ離れが進む日本人に少しでもたくさん食べてほしいという願いから誕生したという。

農林水産省によると、国民一人当たりのコメ消費量は1962年度だと118.3㎏であったのが、2020年度になると50.7㎏と半減。特に日本の主食である「ごはん」を圧迫しているのが「パン」だ。特に朝食にパンという人は、いまやごはん派よりも多いらしい。

古来日本人にとっておコメは、自国を「瑞穂の国(みずみずしい稲穂の国)」と称するほど特別な食べ物であった。

日本人のおコメ好きがどれほどのものだったかというと、日露戦争の時代日本兵は1日6合もの白米を食べていた。1合で大きめの茶碗2杯分だから、ほとんど白米ばかり食べていたことになる。
白米にはビタミンB1が含まれておらず、白米を偏食する日本兵にビタミンB1欠乏症である脚気患者が多く出た。日露戦争の戦傷病死者4万余人のうち、脚気での病死が3万人と、ほとんどが脚気で亡くなっている。

太平洋戦争後の食糧不足時代、援助物資として米国から余剰小麦粉が大量に入り、学校給食にパンが使われるなどして、戦後の食卓にもパン食が一般化していった。しかし朝食・昼食はパンでも、夕食もパンという家庭はいまでも少数派だ。

日本人のコメ離れは62年から年々進み、2010年代前半くらいから、消費金額でパンがコメを上回るようになった。

それでも1993年、フィリピンの火山爆発の影響でコメ不足となり「平成の米騒動」が起こっている。この時代はパンも麺類もふんだんにあったのに、やはり日本人はコメを食べたかったのだ。

思えば60年代よりコメの消費量が半分になったというのは、他に食べるものが増えたからで、別に日本人がコメ嫌いになったわけではなさそうだ。

ちなみにいまや、パン好きは高齢者に多く、若者層はごはん好きが多いという。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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