火と料理が人間を進化させた

エンタメ・2021-12-25 18:28
火と料理が人間を進化させた
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進化というのは、まことに不思議なもので、地球が出来たのが46億年前、単細胞生物、つまり最初の生命が誕生したのが、38億年前と、生命誕生まで8億年間もかかっている。単細胞生物誕生からさらに10億年という長い年月をかけて多細胞生物に進化した。

多細胞生物はやがて植物になり、動物が生まれる。そして人類が誕生するのはわずかに500万年前だ。人類は森を出て、草原で暮らすようになる。果実が豊かだった森と違い、草原に果実は少ない。人類は2本足で立ち、土に埋もれたイモなど根菜を発見し食べ、肉食獣の食べ残した死肉をあさっていたという。どうやらこれが良かったらしい。

そして火と料理の発明。

石器などの道具を使い、火を利用して料理をすることを知った。イモの炭水化物と焼肉を知ったわけだ。いまの人類の食文化の基本がこのときすでにできていたと言っていい。

人類は2本足で立つこと、火を使って消化しやすくなった肉を多く食べ、タンパク質を摂ることで、脳が飛躍的に進化した。人類は進化しつつ数十種類に枝分かれし、我々ホモサピエンスが登場するのは20万年前。

だが7万年ほど前、東南アジアの火山爆発で、アフリカにすんでいたホモサピエンスは数千人に減るという絶滅寸前状態になった。火山の灰のため地球が寒冷化してしまったせいだ。

寒冷化で生き残れたのは、火を使って暖を取り、ありとあらゆるものを料理して食べたからであろう。わずか数千人になったホモサピエンスは、南アフリカで生き残ったが、それまで食べなかった貝類なども食べた痕跡があるという。

この絶滅の危機の時期に、ホモサピエンスは、また進化する。高度な言葉を獲得し、服を身に纏い、絵を描くようになり、神というものを創造した。他の動物にはない想像力を身に着けたわけだ。

その後、ホモサピエンスはアフリカを出て、世界中に拡散する。これも火と料理のおかげだ。さて、きょうは何を食べようか?

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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