赤穂浪士事件はホントに吉良が悪いの?

エンタメ・2021-12-17 18:04
赤穂浪士事件はホントに吉良が悪いの?
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毎年12月なると赤穂浪士や忠臣蔵が、映画やテレビで上映や放映されていたものだが、いまでは製作費の関係で作られることが少なくなってしまった。

ほとんどの物語では、勅使饗応役(朝廷の使者への接待役)を仰せつかった浅野内匠頭を、悪役の吉良上野介がいじめ、耐え切れなくなった浅野が、吉良に斬りかかるというストーリーとなっている。ただ、史実において「なぜ浅野が吉良に斬りかかったか」という点は不明。

ある記録によると、「1200両かかる勅使饗応役の費用を、浅野が700両しか出さなかったため二人の関係がこじれた」というものがあり、また一説によると浅野は短気で、以前から家臣を殴りつけることがあったというから、もしかしたら浅野は、精神的コントロールができない人であったのかもしれない。

凶行の場所は将軍の住まいでもある江戸城内。時の将軍は「生類憐みの令」で有名な徳川綱吉。綱吉は、これまで犬公方などと暗君のように言われていたが、近年の研究では、捨て子や姥捨てを禁止するなど大変な名君で、そのテーマは「命を大切にしよう」であった。

そんな将軍の元での城内殺人未遂の凶行。いくら「命を大切に」の将軍様でも切腹を命じる。当然、被害者の吉良にはおとがめなし。赤穂藩は取り潰し。失業した藩士たちが、逆恨みし徒党を組んで、深夜1人の老人の家に押し入り惨殺。

それがなぜか「快挙」とされ、お芝居になって大当たり。

実のところ江戸時代はマスコミなどないし、江戸城で浅野が刃傷沙汰を起こしたり、浅野の家臣団が、吉良を斬殺したとしても、それは噂でしか広まらない。つまり、お芝居や講談は、この事件をモデルにした創作でしかないのだ。

たしかに主君の暴走で失業した浅野の家臣たちは気の毒にも思えるが、この事件、冷静に見れば、テロ行為と言われても仕方ない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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