ロスチャイルドなどユダヤが世界を支配している?

社会・2022-04-02 09:16
ロスチャイルドなどユダヤが世界を支配している?
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陰謀論者というのは、想像力が旺盛なのではなく貧弱で、破綻している論理を「俺だけが知っている真実」とばかりドヤ顔で発表する人たちだ。

その一つがロスチャイルド家のような大富豪のユダヤ人が世界を支配しているというもの。その経済力で世界の政府やマスメディアを操っているという。ユダヤ人の人口は1500万人、世界人口のわずか0.2%しかいない民族が、はたして世界を支配しているのだろうか?

陰謀論者には、ユダヤ人の国であるイスラエルは、パレスチナ地域という大変小さな地域ひとつ支配できないでいるという現実が見えないらしい。

また、世界を支配しているはずなのに、パレスチナ問題でイスラエルは国連から怒られてばかりいる。

世界の覇権国アメリカ議会のユダヤ系議員は全議席の約5%、米国長者番付のトップ50人のうちユダヤ系は約20%しかいない。世界を支配している割には少なすぎる。

ロスチャイルド家が世界を牛耳っているという人もいる。ある陰謀論の本によると、ロスチャイルド家は第一次世界大戦で巨万の富を得たと書いているが、現実では第一次世界大戦でフランクフルト、ウィーン、ロンドン、ナポリ、パリにあったロスチャイルド5家のうち、パリ家、ロンドン家の2家以外は没落し消えてなくなっている。

ちょうどその頃、『シオンの議定書』というユダヤ人が世界を支配しているという幼稚な偽書が流行り、それをヒトラーが利用してユダヤ人大虐殺がはじまる。ロスチャイルド家の中にも強制収容所で死亡した者もいる。

第二次世界大戦では、生き残ったパリ家もロンドン家もさらに衰退し、戦後に統一。金融業とワイン生産で復興した。

陰謀論者は、世界の災いとなるものをすべて「ユダヤの陰謀」や「ディープステート(闇の政府)の陰謀」のせいにすることで、複雑な世界を単純化して分かった気になっているのかもしれない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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