平和を望むなら戦争を理解せよ! 中露艦隊10隻が津軽・大隅海峡を通過の理由

社会・2021-10-26 20:19
平和を望むなら戦争を理解せよ! 中露艦隊10隻が津軽・大隅海峡を通過の理由
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22日、中国の艦艇5隻、ロシアの艦艇5隻が、津軽海峡から太平洋に出て、鹿児島県の大隅半島と、種子島の間にある大隅海峡を抜けて、それぞれの母国に帰っていった。

中露海軍は2012年から毎年、共同訓練をやっているが、中露がそろって津軽・大隅海峡を通過するのは初めてである。

まず中露の軍艦が、もっとも狭いところだとわずか20㎞の津軽海峡や、40㎞の大隅海峡を無断で通過するのは、中央部分が公海であるので国際法違反ではない。なぜこんな狭い海峡が公海となっているかというと、日本の事情がある。

米軍の核兵器を積んだ原子力潜水艦などが、海峡を通過するときに、日本には核兵器を持たず・作らず・持ち込ませずとの非核三原則に触れるのではないかと、国内から批判されるのを避けるため、本来領海であるこれらの海峡を公海とし、通り道を作ったわけだ。ただし、公海である限り、どこの国の船でも通過することができる。

さて、なぜ中露がなぜわざわざこれらの海峡を通過して見せたのかというと、日米はじめ反中国の国々を威嚇するためだ。

中露は、米英がオーストラリアの原子力潜水艦取得に協力する「AUKUS(オーカス)」に反発。
さらに昨年11月には日本・米国・オーストラリアが参加する「Quad(クアッド)」での共同訓練。
今年10月には、日米英などが空母3隻を使って6カ国の艦艇が南シナ海で行った共同訓練。

これらが中露の危機感を煽り、今回の共同訓練や演習になったといっていい。国際政治は、軍事的にお互いが威嚇しあうことで、平和を保っている一面があるのだ。

ただし演習は戦争の予行演習でもある。台湾や沖縄、フィリピンなど、いつ中国との有事が起こってもおかしくない状態にあることを、日本人はもっと知っておくべきだ。

かつて軍事史研究家のリデル・ハートは言った。「平和を望むなら戦争を理解せよ」と…

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