最も愚かな法律【禁酒法】で何がおこったか?
エンタメ・2021-04-29 10:27いまから約100年前の米国で、「最も愚かな法律」と言われた法律が施行された。【禁酒法】である。
禁酒法時代の米国では何が起こったか?
すごく当たり前のことだが、ほとんどの人類はこれまで普通に行っていた「楽しみ」を法律で禁止されても、そうそうやめられるものではない。当然「飲むな」と言われても人々は隠れて飲むようになる。
当時のアメリカ人はもぐりの酒場に集い、密輸や密造の質の悪い酒を飲むようになった。伝統ある酒造所は潰れ、質の悪い酒が広まることになる。禁止されれば逆にやりたくなるのが人のさがなのだろう。酒場は禁酒法以前の2倍に増えたという。
さらにアルコール依存症が3倍に増え、飲酒運転で捕まる人も5倍に増えた。
違法の酒を酒場に卸すのは当然、反社会の人たちである。アル・カポネといったギャングが幅を利かすようになり、縄張り争いで抗争が激増。禁酒法以前は55歳だったギャングの平均寿命が禁酒法時代には38歳に下がるほどだった。
当然、取り締まる警官や捜査官、抗争や捜査に巻き込まれる市民もいて犠牲者は2千人に及んだという。
また、当時米国の連邦予算の10%あった酒税がゼロになった。まさしく誰も得をしない愚かな法律だったのである。
米国の禁酒法は1920年に施行されたが、その時代に何があったかというと、スペイン風邪の大流行である。感染症によるストレスと飲酒量は因果関係があるようだ。
さて、現在日本でも東京都・大阪府・兵庫県・京都府に飲食店への種類提供禁止令が出て、いま路上で飲む人がマスコミに叩かれている。飲食店での感染率はほんの数%にも関わらず、飲食店や関係業種の人々を苦しめ、酒の税収も減り、みんなが損をする仕組みになっている。もしこれが続くようなら何か他に反作用が出てくるかもしれない。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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