死刑制度について考える 絞首刑は残酷か

社会・2023-01-19 19:47
死刑制度について考える 絞首刑は残酷か
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昨年11月29日、絞首刑は「非人道的」だと死刑囚3人が絞首刑の差し止めと、計3300万円の賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。

死刑囚たちは「遺体が激しく損傷する恐れがある」「必要以上に身体的、精神的な苦痛を負わせている」「個人の尊厳を定めた憲法13条や、残虐で非人道的な刑罰を禁止する国連の国際人権規約に反する」と主張している。

この死刑囚たちは大阪拘置所に10年以上収容されている人たちらしい。

「自分が人を殺したくせに何を言っているのか」と憤慨した人も少なからずいるのではないだろうか?
日本の場合、3人以上殺害すると原則死刑で、2人の場合は総合的に判断し、死刑か無期刑か有期刑かが決まる。1人だと原則死刑にならない。

今回訴えを起こした死刑囚たちは、最低でも2人、おそらくは3人以上の人を殺したから死刑判決を受けたと考えられる。

国際的にみると、法律上や事実上の「死刑廃止国」は144か国である。アメリカでは半数近くの州が死刑廃止、韓国では事実上死刑は行われていない。

死刑が多い国としては中国が数千人、イランは314人、エジプト83人、サウジアラビア65人となっている。

先進諸国が加盟するOECD(経済協力開発機構)38か国中、死刑執行があるのは日本とアメリカのみ。
EUにいたっては、加盟条件に「死刑廃止」が入っているほどで、国際社会では死刑廃止が主流となっている。

一方、日本の場合、死刑賛成派が8割以上いる国だ。もしかしたらこの問題について、感情論のみで答えを出している人や、問題が問題だけに深く考えたくない人が多いのかもしれない。

では今回、3人の死刑囚が訴える「絞首刑は残酷」というのはどうだろう。

かつて死刑は、はりつけや斬首の後にさらし首や火あぶりなど、残酷であり、ときに見せしめとして処刑が行われていた。
明治時代になると、初期以外斬首刑などはなくなり絞首刑のみとなる。

アメリカは、19世紀中頃までは絞首刑だったが、絞首刑よりも残虐ではないとして、電気椅子刑となり、現在は薬殺刑が採用されている。
薬殺刑は一種の安楽死だが、薬が効かず何十分も苦しんだという報告もある。

日本では2012年の民主党政権時代に、絞首刑から薬殺刑に変更するかという検討が行われたこともあるが、あまり話題にもならず立ち消えになった。

また『憲法第36条』に「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」とあり、絞首刑は「残虐な刑罰」ではないとされているが、いま一度考えてもいい問題であるかもしれない。

さらに最近増えている「自分1人では死ねないので死刑にしてほしい」と、大量殺人を目論む犯罪者もいる。この場合、死刑執行は加害者の願いをかなえることになってしまう。
死刑問題は、なかなかやっかいだ。

現在、日本の死刑囚は106人いる。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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