貧しかったからヨーロッパは世界を征服した
エンタメ・2022-02-23 14:47いまや世界は西欧文明に呑み込まれているといっていい。次の覇権国を狙う中国の習近平でさえ衣服は洋服だ。なぜ西欧文明が世界を吞み込んだのか? それは西欧という土地が、ひどく貧しく荒れた西の辺境だったからだ。
中世のはじめ頃、西欧は世界的に見て後進国であった。古代では世界的最先進国であった古代ギリシャや古代ローマは、西欧のキリスト教文明が徹底的に破壊してしまっていた。
当時の先進地域としては、イスラム世界や中華世界、インド世界があったが、彼らは貧しい西欧をほとんど相手にしなかった。
西欧人は胡椒や絹織物などを東洋から輸入したかったが、イスラムのオスマン帝国の領地を通らねばならず、莫大な関税を取られて儲からない。
そんなとき、中国で羅針盤が発明され、13世紀に西欧にも伝わった。「おお、これがあれば、陸路じゃなくても海路で東洋にいけるかも」と、西欧人たちは思い立った。この時期に西欧人たちが、銃などの火器を開発していたのも大きい。
西欧人たちはアフリカ大陸の西側を通過し、南アフリカの喜望峰を回ってインドにたどり着く。ある者は「地球は丸いはずだから大西洋を渡れば、インドやジパングに着ける」と信じて航海に乗り出す者もいた。そしてアフリカ各地やアメリカを征服し、植民地化していくのである。
ちなみに西欧で大航海時代が始まる少し前、明国から鄭和が大船団を率いて、アフリカ東岸から紅海沿岸まで進出している。その目的は貿易と国威掲揚であったが、豊かであった明国はその後世界進出をやめてしまった。明国は内需で賄えるし、珍しい品々は全世界の商人が、明国に売りにくればいいという考えだ。
さらに西欧人の17世紀の科学革命、18世紀の産業革命が西欧人の世界制覇に拍車をかける。
そして20世紀になり、イスラム世界のオスマン帝国と中華世界の清王朝が滅亡し、世界は西欧文明に吞み込まれていくことになる。
プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。
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