ドラマ宇宙戦争(火星人襲来)で起こった悲劇

エンタメ・2022-02-22 09:54
ドラマ宇宙戦争(火星人襲来)で起こった悲劇
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19世紀末、英国の作家H・Gウェルズが『宇宙戦争(火星人襲来)』というSF小説を発表、世界的大ヒットとなった。

内容は【ある日、空から砲弾のようなものに乗ってやってきた火星人が、戦闘ロボットを使って侵略してくる。その高い科学力の前には軍隊も太刀打ちできず、市民は逃げ惑い、いよいよ火星人に征服されてしまうのかと追い詰められたとき、なぜか火星人たちは死んでしまう。理由は、火星にない病原菌で免疫のない火星人が全滅してしまったからだ】

というもの。

1938年、俳優のオーソン・ウェルズが、この小説を【臨時ニュース風に演出したラジオドラマ】を放送したところ、米国市民がパニックを起こしたという話がある。しかし現代では、実際にはパニックは起こっておらず「パニックが起こった」というのは、一種の都市伝説というのが定説だ。しかし後にある悲劇が起こってしまう。

1949年4月1日、エクアドルで、やはり臨時ニュース風に演出した『宇宙戦争』のラジオドラマを放送したところ、本当に避難する人が出てきたため放送を中断。ドラマであると伝えた。すると怒った群衆がラジオ局を襲撃し放火。出演者とラジオ局員21名が亡くなるという大事件になってしまったのだ。

なぜこういう悲劇が起きたかというと、当時エクアドルは隣国ペルーと戦争中で、数年前に空爆もあったため、空から何者かが襲ってくるということに敏感に反応したからだという。火星人の襲撃を信じなくても恐怖を感じた人も多かったことであろう。

ラジオ局としてはエイプリルフールの冗談番組として放送したつもりだったのだろうが、ジョークとしては通用しなかった。臨時ニュース仕立ての放送に「ふざけるな!」と大衆の怒りを買ってしまったのだ。

日本でも災害時に、冗談のつもりでデマを流す人がいて、逮捕者まで出たことがある。災害時のデマは冗談であってもやめたほうがいい。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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