お化け番組『水曜どうでしょう』に見る人気の不思議

エンタメ・2022-02-07 18:29
お化け番組『水曜どうでしょう』に見る人気の不思議
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「8時だヨ!全員集合」や「紅白歌合戦」など驚異的な人気や視聴率を挙げた番組を『お化け番組』とか『怪物番組』と呼ぶ。テレビ界にはもう一つ、なんとも奇妙なお化け番組が存在する。それが「水曜どうでしょう」だ。

「8時だヨ!全員集合」などと違い、「なにそれ知らない」という人もいるかもしれない。1996年にはじまった北海道テレビのローカルにして深夜の低予算旅番組である。

それのどこが「お化け番組」かというと、大泉洋、安田顕といったスター俳優を世に送り出したこと。現在でも形を変えて続いていることなどがあるが、なんといっても、日本中のローカル局で、延々と再放送され続けていることだ。

基本的にバラエティ番組の再放送というのはほとんどない。しかしこの番組は、いまでも12局ものローカル局が、90年代に作られた番組を再放送し続けている。

地上波で東京にいて観ることができる局は「MXTV」「テレビ神奈川」「千葉テレビ」「テレビ埼玉」などで、それぞれ違う回の番組を観ることができる。90年代の大泉洋は、どことなく不潔でいまのように洗練されておらず、安田顕はマスコットの着ぐるみの中に入っていて、滅多に出てこない。

番組の内容は、車で旅をしながらディレクターを交えての会話が中心で、ときどきボヤいたりバトルを繰り返すというもの。

90年代の同じような旅番組だと「進め電波少年」のヒッチハイクものなどがあるが、最大の違いは、出演者がバトルをしながらでも常に笑っていることではないだろうか? 特に同行のスタッフが実によく笑う。

90年代の「水曜どうでしょう」が、いまでも再放送され続けているのは、これら出演者の上機嫌さであろう。ボヤいてもバトルをしても、最終的に笑っている。そんな上機嫌な人を我々が見続けていたいからかもしれない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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