ちょっとエッチなバイブレーターの歴史

エンタメ・2022-08-08 19:07
ちょっとエッチなバイブレーターの歴史
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世界的コンドームメーカーである「デュレックス社」の調査によると女性の4人に1人が電動バイブを使用したことがあるそうな。その電動バイブは、案外ホームセンターなどで「肩こり用健康グッズ」として売られている物かもしれない。

アダルトビデオの普及で、肩こりなどに使う健康用バイブレーターが、性的な目的で使われているのを観るようになり、多くの人が「こんな使い方があるのか」と、感心した人もいることだろう。しかし「健康用バイブレーター」は、元々【それが目的に】作られたものらしいのだ。

まず健康用バイブレーターが最初に作られたのは18~19世紀のことであった。このころ、欧米の女性たちはなぜかヒステリー(神経症)に悩まされている人が多かった。かの精神分析の泰斗ジークムント・フロイトも、ヒステリーの治療法を研究し患者にコカインを与えたりしていた。そんな時代であった。

ヒステリーが女性に流行していた19世紀は、欧米の女性が性的に圧迫されていた時代でもあった。女性には性欲がないと考えられており、女性から男性に話しかけただけで「淫売」と言われるような時代であったのだ。

当時のキリスト教社会では、性は楽しむものではなく子作りのためのみに行うものとされていた。SEXの体位に「正常位」というものがあるが、これは欧米で生まれた言葉で、正常位以外は【異常】とされていたからこその【正常位】であったのだ。

当然、女性が性行為中に「快感を感じたり」「喘ぎ声を出したり」することはあってはならないことだったのだ。

元々ヒステリーは子宮を意味するギリシャ語で、ギリシャ・ローマ時代を通して、ヒステリーは、「性」に関係した「女性」に生ずる疾病と考えられていた。18~19世紀でもヒステリーは性的な病気で「婦人科」で診るものであった。

医者たちはヒステリーの原因が「性的欲求不満」であるとして、ご婦人たちの性器を指で触るという「治療」を行っていたが、さすがにこれは疲れるのである。しかし、婦人たちは、この「治療」を受けると、思い切り「喘ぎ声」どころか「叫び声」もあげられ、治療後はスッキリとするのであった。

そこで生まれたのが、性器に刺激を与えることができるマシーンである。最初は水力やゼンマイの動力などで作られたが、やがて電力のバイブレーターが普及するようになっていった。

これは病院だけでなく、家庭にも広まりアメリカなどではかなりの家庭で自慰用として秘かに「愛用」されていたらしい。もちろん表向きは肩こりや腰の疲れを取るマシーンとしてだ。

やがて「本来の目的」は、やがて忘れられていったようだ。アダルトビデオの制作者も「これを使えば面白いかも」と、思いついて「本来の目的」として使いだしたのではないだろうか?

実際、多くの人は身体のコリをほぐすために使っている場合が圧倒的に多いと思われるが、「本来の目的」が一般に知れ渡るようになると、マシーンを隠さないと恥ずかしいということになってしまうかもしれない。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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