日本人の平均年齢48歳 この年齢前後が日本でもっとも不幸な世代

エンタメ・2022-08-03 18:48
日本人の平均年齢48歳 この年齢前後が日本でもっとも不幸な世代
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日本人の年齢の中央値は48歳。世界ではモナコに次いで2番目に平均年齢が高い国だそうです。そしてこの48歳前後の人というのは、生まれてから日本がずっと下り坂時代を生きて来た世代。

いわゆる就職氷河期世代です。年齢でいうと 35歳以上55 歳未満の人がこれに当たるそうですから、まさにいま日本でもっとも多い年齢の人たちが、もっとも不幸な時代を歩んできた人たちともいえます。

まず、学校卒業時に残念ながらうまく就職できなかった人は、非正規雇用として不安定で低収入な仕事に就かざるをえず、そうなると低収入であるがゆえに、恋愛や結婚にも支障が出てしまっているのが現状。それでいながら、この世代は社会を担う中心世代となっています。

この人たちはなかなか希望の職に就けず、なんとか契約社員や派遣社員、フリーターとしてがんばっていた30代くらいのときにリーマンショックが起きます。「ワーキングプア」という言葉が一般化したのもこの頃です。

そして現在、これまで頼りにしていたはずの親の介護がリアリティを持ってこの年代を悩ましています。

2009年にNHKと三井総研が出版した『“35歳"を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか』という本があります。この題名がしめすごとく、09年の35歳は現在の48歳。この年代の人は09年のときも、10年前の35歳よりも年収が200万円も低かったのです。

09年にNHKが35歳の人、1万人に「このまま働いていけば、将来の生活は良くなると思うか?」というアンケートに対して「良くなる」と答えたのはわずかに15%。
「収入はもう伸びない」と答えた人は69%と7割。そして彼らの予感はほぼ当たり、いまだに日本人の給料は90年代より低いという現実。

この世代で結婚し子育てをしている人たちも、増えない収入の中での子育てであり、ひと世代ふた世代前にはない不安感の中で子育てするしかない時代です。そして彼らの子どもたちの7人に1人は貧困に苦しんでいます。

この世代の人たちは、就職氷河期世代、ロストジェネレーション世代、失われた30年世代、バブルを知らない子供たちなどと呼ばれたりもしました。不登校やひきこもりが問題になりだしたのもこの世代です。現在、この世代が日本の中心層となっているのです。

残念なことに、ちょっと上の年代はバブル世代、その上は高度成長期世代であるため「がんばればなんとかなる」「努力が足りない」「俺の若い頃は」などと48歳前後の苦悩をなかなか理解することができません。

この世代はホリエモンやひろゆきといったニュータイプも生みだしました。しかしそれはほんの一握り。世代により【戦争に行った世代・行かずに済んだ世代】など、わずか数年、生まれた年の違いで運命が左右されることがありますが、いま日本で最も多い世代が、戦後日本でもっとも不幸な世代になってしまっているようです。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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